郵送で税務署から来る資料提出(資料せん)の照会依頼の手紙は無視していい?

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永江 将典

公認会計士・税理士
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今回は、税務署が持つ情報力、資料についてご紹介していきます。

税務署には膨大な情報や資料が集まっています。それらの情報や資料を基に、税務調査を行うかどうかの机上調査が行われたり、実際税務調査が行われるとなった場合は裏付けを取ったりしています。

 

では税務署にはどのような情報や資料があるのか、またそれらの情報や資料はどのように集められて来ているのかといった事をご紹介していきます。

 

たとえ赤字でも何故税務調査が行われるのか、確定申告を申告していない(無申告)なのに何故バレてしまうのか、また売上除外などの不正行為が何故バレてしまうのか、疑問に思ったことはないでしょうか?

何故バレるのか、それは税務署には膨大な情報や資料があるからです。もちろん他にも理由がありますが、税務署の持つ情報や資料を侮ってはいけません。

 

以前にも

「なぜ?個人に税務調査が来る理由、脱税が疑われやすい申告書のポイント」

「個人の税務調査はどこまで調べる?脱税はどこまでバレてる?」

という記事の中で、税務署の情報・資料の力や税務調査での情報収集を方法を一部ご紹介しましたが、今回この税務署の持つ情報や資料についてまとめてご紹介していきます。

 

税務署は、税務調査の調査先の選定などを目的として収集されている資料は、大きくわけて「法定調書」と「法定外資料」と2つあります。

それぞれについてご紹介していきます。

 

法定調書について

法定調書とは、「所得税法」「相続税法」「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金などに係る調書の提出等に関する法律」の規定により、税務署への提出が法律で義務付けられている文書の事です。

提出が法律で義務付けられているため、税務署から提出を命じられた場合、その命に従わなければ罰則を科されることになります。

 

法定調書は、法人などが例外を除いて、翌年1月31日までに税務署に提出しなければならず、現在60種類あります。

 

もう少し詳しく記載しますと、
「所得税法」で43種類
「相続税法」で5種類
「租税特別措置法」で8種類
「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金などに係る調書の提出等に関する法律」で4種類

となります。

 

国税庁が発表している、平成29年度の事務年報によりますと、

平成29事務年度の法定資料の提出状況は

「所得税法」による法定資料は2億4909万枚
「相続税法」による法定資料は112万枚
「租税特別措置法」による法定資料は1億586万枚
「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金などに係る調書の提出等に関する法律」による法定資料は732万枚

と合計3置く6339万枚(対前事務年度比100.2%)提出されています。

 

 

法定調書には、例えば土地・建物の売買に対する「不動産などの譲受対価の支払調書」「斡旋手数料の支払調書」や、弁護士や税理士などに支払われた「報酬料金等の支払調書」、給与所得の源泉徴収票や退職所得の源泉徴収票などがあります。

 

詳しくは国税庁のHP内にある「法定調書の種類」に全てありますので、ご確認ください。

 

法定調書は法律に定められていますので、税務署への提出が義務付けられています。

また当然、法定調書の提出義務者というのも定められていますので、しっかりと確認し、提出義務者に該当する方は期限を守り、管轄の税務署へ提出しましょう。

 

法定調書の提出義務者に関しては、

こちらも国税庁のHP内にある「法定調書の提出義務者」を確認してください。

もし、わからない場合は、顧問税理士がおられる方は顧問税理士へ、顧問税理士がいない場合は、最寄りの税務署へお尋ね下さい。

 

法定外資料について

次に法定外資料についてです。

先ほどの「法定調書」は税務署への提出が強制されているのに対して、「法定外資料」は税務署への提出が任意とされているものです。

つまり、法定外資料は、提出するもしないも納税者の自由な意思に委ねられています

法定外資料は法定調書と違い法律で提出が義務付けられていないので、提出しないからと言って罰則を科されることはありません。

 

法定外資料は法律により提出が義務付けられているわけではなく、提出は任意によるものですが、税務調査においては有効な資料として活用される場合が多い資料でもあります。

 

法定外資料の収集状況としては、平成29事務年度の場合ですと

1億4775万枚(対前事務年度比97.4%)となっています。

 

法定外資料には

・一般収集資料

・特別収集資料

・探聞資料

等があります。

 

納税者の皆様に関りがあるのはこの中でも「一般収集資料」と言われるものです。

それぞれ少しご紹介していきます。

 

一般収集資料とは

一般収集資料とは、国税局や税務署が、適正かつ公平な課税の実現のために、法人や個人事業主等、納税者に依頼し、納税者の任意の協力のもと作成される資料の事です。一般取引資料せんとも言われます。

 

一般収集資料は任意の協力によってですので、提出をしなかったからと言って税務調査に来られることはありません

 

この一般収集資料は、売上や仕入れの資料だけでなく、リベートや交際費などの支払先の調査をする際に有効だと思われる費用項目について重点的に集められた資料の事です。

具体的にどのようなものかと言いますと、例えば年間取引が100万円以上の外注先について、一年間の外注の支払金額、支払方法、支払口座等を教えてください。というものです。他にも、あなたの所の接待交際費の中の現金支払いのうち、一回の支払いが5万円以上のものを教えて下さいといった事もあります。

 

この依頼内容が、ある年では外注費の時もあれば、接待交際費の時もありますし、売上の時もあります。項目は毎年決まっているわけではありません。

要は税務署が情報として頂きたいものが、一般収集資料の項目という事になります。

また依頼先も毎年同じところではなく、今年依頼が来たからと言って、来年来るとは決まっていません。

 

この集められた一般収集資料は、税務調査対象者の選定や税務調査時の参考資料として使用されます。

 

どのような使用方法があるかと言いますと、例えばこの一般収集資料によって、提出した納税者ではなく提出した納税者の取引相手の方の情報を引き出すことが出来ます。

つまり、取引先に無申告の方がいただとか、申告していたとして申告していた金額が少なかったりだとか、そういった事がこの一般収集資料からわかってきます。

 

特別収集資料とは

特別収集資料とは、内部資料と言われるものの一つです。

調査官が税務調査に出向いて収集する資料のことで、登記関係の資料や増改築の資料などが該当します。

探聞資料とは 

探聞資料とは、調査官が見聞きしたことをまとめた資料のことです。
たとえば、新聞や週刊誌の切り抜きやテレビ・ラジオなどの報道、ホームページなど、また弁当などを販売する自動車を見かけたという場合であれば、その日時や商店名、ナンバープレートなどを記録したメモ、張り込み調査で隣近所での聞き込み情報などを記載したメモ、捨てられたゴミなど様々なものが探聞資料の材料となっています。

重要資料とは

様々な形で調査官が収集した、売上除外や架空原価などの不正計算が強く疑われる情報を収集し作成された資料のことです。

資金資料とは

税務署内には、機動官といわれる方々がいますが、この機動官は日々金融機関に臨場し、怪しい入手金をしている記録のある預金者の情報を収集しています。この機動官によって収集された情報を資金資料といいます。

その他の情報や資料

税務署には法定調書や法定外資料など様々な情報や資料が集まってきています。

しかし、税務署にはこれらの法定調書や法定外資料以外にも勿論情報や資料がありますので、ご紹介していきます。

 

KSKシステム

KSKシステムとは国税総合管理システムの略称です。

平成13年に全国に導入され、全国の国税局や税務署をネットワークで結び、納税者の申告に関する全情報を一元的に管理するコンピュータシステムの事です。

 

国税庁は、このKSKシステムについて、次のように説明しています。

 

国税総合管理システム(以下「KSKシステム」という。)は、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告や納税の事績や各種の情報を入力することにより、国税債権などを一元的に管理するとともに、これらを分析して税務調査や滞納整理に活用するなど、地域や税目を越えた情報の一元的な管理により、税務行政の根幹となる各種事務処理の高度化・効率化を図るために導入したコンピュータシステムである。

 

このKSKシステムには、過去に提出した申告関連のデータやその他様々な情報が管理されています。例えば先ほどご紹介した一般収集資料とこのKSKシステムに入力されているデータを照合し、提出された申告内容に誤りがないか等を調べることができます。

 

その他このKSKシステムを使って、提出された申告書の異常値を見つけて選定する事もできます。

このように税務署ではKSKシステムを用いて、様々な観点についてシステム的に分析を行い、その結果を「調査必要度」という形でスコアリングしています。

多額の特別利益や特別損失がある、売り上げの急増急落、利益の急増急落、利益率の変化がある、同業同規模他社と比較して売上や利益が少ない(経費が多い)会社などをピックアップすることが出来、調査先の候補としています。

 

取引照会

取引照会とは、反面調査の代わりに行われるものです。

つまり取引照会とは、反面調査で調査官が乗り出す代わりに、調査官が知りたい取引の内容を文書で問い合わせて来るという事です。

 

ですので納税者の任意の協力のもと資料提供を求める一般収集と違い、取引照会は必ず税務署の提出要請に応えなければいけません

税務署へ取引照会の文書を提出しない場合は、いつまでも提出を求められる事になりますし、税務署の提出要請を無視し続けると反面調査に移行することになります。

 

反面調査の代わりとなる取引照会とは、どのようなものなのでしょうか。

取引照会とは、特定の取引先との取引内容を確認したいという、まさに取引先を限定してくるものです。

 

例えば、あなたの会社と取引している個人の○○さんの取引について教えてください。

〇〇さんとの取引があれば、何年何月から何年何月までの分の決済状況等を、日付・金額・決済方法・振込だったら振込金額まで書いて、いついつまでに提出してください。

 

といったような形になります。

 

この取引照会で尋ねられる事とは、調査において金額が不明だったりするものがあった場合、反面調査の代わりとして調査官から文書で問い合わせが来るという事です。

 

ですので、取引照会を税務署から依頼を受けた場合は、反面調査の代わりですので、提出が必要となります。

 

ただし、取引照会で尋ねられた取引先と取引がない場合もあります。

そのような場合は、「お尋ねになった取引先との取引は無いですよ。」「この取引先は知らないですよ」といった旨を税務署へ提出すれば大丈夫です。

 

また取引照会は、税務署に用意されている文書で送ります。

つまり、取引照会の文書には、基本手での記載すなわち手書きになります。

 

もし手書きで記載するのが、大変だ・面倒だという場合は、以下の2つの方法があります。大抵大丈夫だと思うのですが、念のため、どちらの方法を選ぶにしても、まず担当調査官に電話連絡し、その方法で良いかを確認して行って下さい。

 

1つ目は、

昨今、PCを使って会計処理をしている事が多いと思います。
ですので、PCで会計処理をしている場合は、
例えば、税務署から尋ねられている取引先と取引があった場合、その該当者だけの取引ものを抽出し、尋ねられている期間の取引を全てプリントアウトして、税務署から送られてきた文書に貼り付けて送る方法です。調査官に電話でこの方法で提出しても良いか確認した上で行ってください。

 

2つ目は

調査官に直接電話連絡をして、反面調査に来てもらう方法です。
つまり調査官に来てもらい、該当する取引先との資料を渡し見てもらい、調査官に自分で拾って書いて持って帰ってもらう方方法です。

 

どちらが良いかは、取引照会の連絡が来た時に、ご自身の手間などを考えて一番良いと思われる方法を選んで下さい。

 

国税庁・税務署へのタレ込み

国税庁のHPには、「課税・徴収漏れに関する情報の提供」といった窓口があり、第三者通報が出来るようになっています。

 

内部告発をはじめ、密告や告発などのタレ込みの情報も、又このような窓口から税務署に直接集まって来るようになっています。

 

最後に

今回は、税務署のもつ情報力や資料についてまとめてみました。

 

私たちが思っている以上に、税務署には膨大な情報や資料が集まっています。

また常に、今も税務署ではさまざまな形で情報を収集し、また蓄積しています。

 

そしてこれらの情報をもとに税務署は税務調査先を選定されています。

また税務調査の際は、これらの情報や資料から重点的に調査する場所や、申告内容の整合性を取ったりする事もあります。

 

なんにせよ、税務署の情報力や資料を侮らないようにしましょう。

永江 将典

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