税務署職員の役職(名刺)の解説~特官・統括・国税調査官・国税審議官・情報技術専門官など

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永江 将典

公認会計士・税理士
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今回は、税務署職員の役職についてご紹介していきます。

税務署職員の役職を知っておくメリットは、税務調査が行われる際、自身の税務調査に対して税務署側がどれくらい力を入れているのか、調査官がベテランなのかどうかといった情報を掴むことが出来ます。

 

一見知らなくても良さそうに思われるかもしれませんが、知っておくことで対応に注意を払う事が出来ますので是非参考にして頂きたく今回は税務署職員の役職についてご紹介していきます。

 

税務調査では、最初に必ず身分証明書の確認から!

税務調査に際し、最初に必ずしなければならない事が調査官の身分証明書の確認からです。

 

なぜまず初めにしなければならないのかというと、以下の3つの理由があるからです。

①本当に税務署から来た調査官かを確認する為

②どの税目に対して行われる税務調査なのかを知る為

③調査官の実力や経験値また税務署側の調査への熱量を知るため

 

①本当に調査官?

本当に税務署から来た調査官かどうかという確認はとても基本的な事で見過ごされがちですが、確認することはとても大切です。

 

事前連絡があっての税務調査であれば日時が決まっているため疑いづらいことかもしれませんが、事前連絡がない抜き打ちの税務調査の場合は、注意が必要です。

 

事前連絡がない抜き打ちの税務調査の場合、まず調査官が目の前に急に来たというだけでとてもびっくりされると思います。焦らずに、落ち着いてまずは調査官に、写真が貼付された身分証明書の提示と、「国税質問検査章」の提示を求めましょう

 

写真が貼付された身分証明書は、調査官が国家公務員である事の証です。また写真があるため本人確認することができます。この身分証明書には〇〇税務署など、所属官庁が記載されています。

 

また「国税質問検査章」には、どの税目に対しての質問検査章なのか、調査官の役職などが記載されています。この内容については後述しますので、ここでは内容は省略します。

 

もし調査官がこれらの写真を貼付した身分証明書や「国税質問検査章」を提示しない場合、もしくは提示を求めても応じない場合は、税法でも「調査を断る合理的な理由」に該当する為、その税務調査を拒否することができます

 

何故なら、税務調査に際し調査官は「国税質問検査章」を携帯し、調査先などで求められれば提示しなければならないと法律で義務付けられているからです。

 

この身分証明書の携帯等に関しての法律は、国税通則法第74条の13が該当します。

 

国税通則法第74条の13 身分証明書の携帯等とは

国税庁等又は税関の当該職員は、第七十四条の二から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)の規定による質問、検査、提示若しくは提示の要求、閲覧の要求、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施をする場合又は前条の職務を執行する場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

 

このように法律で義務付けられているので、ためらう事無く、写真の貼付された身分証明書と「国税質問検査章」の提示をもとめ、きちんと確認を行ってから税務調査を始めるようにしましょう。

またこのように税務調査に際し、まずしっかりと調査官の身分を確認することは調査官側にも「この方はちゃんとしてるな。わかっているな。」と意識させることができるため、調査時に無茶な要求や不当な調査を受けにくくなります。

 

②どの税目の税務調査なのか確認しましょう!

写真の貼付された身分証明書以外に、

調査官には身分証明書となるものがあります。

それは「国税質問検査章」と言われるものです。

 

この「国税質問検査章」の書式は国税質問検査章規則という法律において定められています。

 

「国税質問検査章」に記載されている記載事項ですが、

======

1.〇〇税に関する質問検査章     ⇒どの税目の質問検査権を持つのかわかる

2.所属税務署名

3.〇〇官              ⇒職官・役職がわかる

3.氏名

4.生年月日

5.税務署長の印鑑

=====

となります。

ここで重要となるのが、「〇〇税に関する質問検査章」という部分の確認です。

この「〇〇税」という部分に、例えば法人税や所得税など、税目が記載されています。

この記載されている税目を把握することで、調査官がどの税目に関して質問検査権を持ち調査が出来るのかといった、調査官の質問検査権の範囲と調査範囲を知ることが出来ます。

 

同時に、当たり前のことではありますが、記載されている税目以外の質問検査権を持っていないことでもありますので、調査の時に調査官が質問検査権を持たない範囲に関する質問や調査は拒否することができるという事になります。

 

質問検査権がないにも関わらず、調査官が質問検査権を行使した場合は、刑法193条の公務員職権濫用罪が適応されます。

 

刑法193条 公務員職権濫用とは

公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

ですので税務調査に際し、まずは国家公務員であることを証明する写真の貼付された身分証明書を確認すると同時に、この「国税質問検査章」をしっかりと確認しましょう。

そして国税質問検査章に記載されている税目の質問検査権の範囲を逸脱した質問や調査は、不当な調査である事を覚えておきましょう。

調査官が「国税質問検査章」に記載されている税目に対する質問や調査は、正当な質問検査権を行使なので、納税者側に受忍義務がある為、拒否することは当然できません。

しかしながら「国税質問検査章」に記載されていない税目に対する質問や調査は、調査官に質問検査権がなく、職権の濫用となり、当然その調査は不当な調査となるため拒否する事で来ます。

 

始めにきちんと確認することで不当な調査やめちゃくちゃな要求を阻止することができますので、「国税質問検査章」は始めに提示してもらいきちんと確認しましょう。

 

③役職を見てわかる事

調査官が携帯を義務付けられている「国税質問検査章」には、調査官の役職の記載もあります。

この「国税質問検査章」を確認することで、税務署のどの部門のどのような役職の調査官が担当しているのかがわかります。

 

役職を見る事でその調査官がどのくらい実力や経験があるのか、また税務署側の調査に対する重要度を推測することが出来ます。

 

担当調査官が、特別国税調査官なのか、上席税務調査官なのか、国税調査官なのか事務官なのかによって、税務署が税務調査にどれくらい力を入れているのか掴むことが出来ます。

 

このように役職からでも、税務調査に対しての重要度や、調査官の実力・経験度合を知る貴重な情報となるため、役職の確認をしましょう。

 

税務職員の役職について

税務署の中には、署長・副署長・総務課長がまずいます。

小さな税務署であれば副署長がいない場合もありますが、署長・総務課長は必ずいます。

 

そして、その下に個人課税部門とか法人課税部門・資産課税部門・管理運営部門といった部門があります。

 

例えば個人課税部門を紹介するならば、個人課税部門の中には、個人課税第一部門から、第二部門、第三部門…と続いていきます。多い所であれば第九部門まである所もあります。

基本的には第一部門という所は、内部事務を担当します。

そして第二部門以降という所が、調査を担当するようなことになっています。

この第二部門以降、調査を担当するところには、統括国税調査官というのを筆頭に、その下に上席国税調査官、国税調査官、そして国税調査官になる前の財務事務官と続きます。

このような組織構成で、部門編成がなされて調査をしていくという事になります。

これは個人課税部門であっても法人課税部門であっても資産課税部門であっても一緒です。

 

また税務署には、個人課税部門や法人課税部門・資産課税部門などといった部門には第一部門から以降第二部門・第三部門と続いていく部門以外に、

特別国税調査官というグループもあります。

通常「特官」と呼ばれている方々です。

この特別国税調査官といった方々のグループは、全部の署にあるわけではありません。小さい署であれば存在しない場合もあります。

この特別国税調査官のグループには、特別国税調査官と特別国税調査官付という職員がおり、例えば3人とか5人とか、そういう形の中で調査をしていくという事になります。

 

では、実際にそれぞれの役職について、少しご紹介していきます。

 

①財務事務官について

財務事務官とは、本来財務省の職員全員が財務事務官にあたります。

財務事務官とは役職ではなく、官職を示す言葉だからです。

ですので、財務省の職員は皆公務員なので、財務事務官となります。

 

しかし実際税務署内では、財務事務官とは国税調査官になる前の職員を財務事務官もしくは事務官と呼んでいます。

つまり一般的に使用されている財務事務官もしくは事務官というのは、税務署に入署したばかりの、まだ役職に就く前の職員の事をいいます。

すなわち民間の会社であれば新入社員にあたる方々になります。

 

②国税調査官について

役職のない職員は通常事務官と呼ばれてますが、その上にいる職員が、国税調査官と言われる方々です。

国税調査官を含め、国税調査官以降はそれぞれ役職になります。

国税調査官は第一線の調査担当者です。

 

税務調査で納税者の方が会う事が多い税務職員は、役職順で上から申し上げますと、上席国税調査官、国税調査官、役職のない事務官となります。

しかし近年、税務署ではどちらかというと中間層が少なく、この国税調査官という方は少ないようです。

どちらというと若干お年を召された上席国税調査官と若い職員の事務官、こういう方が多いようです。

 

③上席国税調査官について

上席調査官は、調査経験が長く、経験豊富なベテランが多く、実地調査の現場責任者としてやってくることが多いようです。

 

④統括国税調査官について

統括国税調査官は実際に税務調査を指揮する立場の調査官です。

統括国税調査官は実務経験と税務知識が豊富で、民間の会社でいうところの部課長クラスだと言えます。

第一統括官は事案を持たないのですが、第二統括官以降は自分の事案というものを年に数件持ちますので、税務調査であまり会う確率は低いものの、お会いすることがあります。

 

またその他にも、役職のない事務官の指導もかねて税務調査に来るということもあります。

 

⑤特別国税調査官について

先ほどの①~④はそれぞれの部門、つまり個人課税部門や法人課税部門等の第一部門以降に所属する役職についてのご紹介でした。

 

特別国税調査官はこれらとはちょっと違うグループになります。

個人課税部門や法人課税部門などに特別国税調査官がいる場合がありますが、第一部門や第二部門といったグループには属してはいません。

 

特別国税調査官が行う税務調査は、特別国税調査部門が管理している納税者を事案として持ちます。

 

まず、特別国税調査官、通常「特官」と呼ばれている方たちですが、この特別国税調査官は大体30年くらい経ったベテランの方々がなる事が多いようです。

この特別国税調査官は、その後副署長になったり署長になったりする方もいれば、副署長から特別国税調査官になったりする方もいます。

 

特別国税調査官が持つ事案というのは、富裕層などといった特別国税調査部門で管理している納税者の税務調査になります。

 

特別国税調査部門で管理している納税者とは、富裕層例えば不動産収入が〇億円以上とか国外財産調書を出している人等です。

 

ですので、特別国税調査官が来る税務調査とは、特別国税調査官が管理している納税者の中から選ばれて調査が行わることになります。

ですので、個人事業主であっても法人であっても、この特別国税調査官が管理している対象であれば特別国税調査官が税務調査を行う事になります。

 

⑥その他の役職について

近年、様々な職種や取引があります。税務署も時代の流れに応じ、適正な調査が出来るよう、様々な役職を持つ調査官がいます。

通常では、このような特殊な役職を持つ調査官に出会う機会はないと思いますが、職種によっては税務調査の時に出会う事もありますので、一部ご紹介していきます。

 

名古屋市を例にあげるならば、名古屋市にもいくつか税務署があるなかで、名古屋中税務署に集中して特殊な役職をもった職員がいます。

名古屋中税務署にいる特殊な役職をもった職員とは、例えば国際税務専門官、それから情報技術専門官等です。他にも法人課税部門だと、特別調査情報官等がいます。

 

このような役職の方は、ある程度高度な事案を選んで自分たちで税務調査をすることもあれば、名古屋中税務署に所属しながら、例えば愛知県内の税務署を広域で管轄し事務を行う事があります。

このように、自ら事案を選んで調査を行くこともあれば、名古屋中税務署に所属しながら、愛知県内にいる職員の指導もかねて、その職員と一緒に調査に行く事があります。

 

名古屋中税務署に所属しながら、愛知県内にいる職員の指導もかねて、その職員と一緒に調査に行く場合、例えば豊橋税務署の事案に同行する場合、豊橋税務署に併任辞令というのをもらって、身分証明書は豊橋税務署の職員として税務調査に携わることになります。

 

特殊な役職についてですが、

国際税務専門官とは。いわゆる国際取引についての事案に携わっています。

情報技術専門官は、例えばITを駆使した取引、簡単なものだとインターネット取引等を中心とした事案に携わっています。

それから法人課税部門に所属している特別情報技術官というのは、法人でも署ではなかなかやれない少し大きな事案に携わっています。

 

これらの特殊な役職をもった調査官は、当然専門的な知識や経験が豊富な職員で高度な事案に携わることが多いです。

 

以上、税務署職員の役職についてのご紹介でした。

役職を知ることで、調査官の実力や経験値、税務署側の調査への力の入り具合を知ることが出来ますので是非参考にしてみて下さい。

永江 将典

公認会計士・税理士
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