税務調査で売上漏れは必ずチェックされる!残高のずれや現金商売は要注意!

永江 将典

公認会計士・税理士
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前回は税務調査における、経費の領収書についてご紹介しました。

税務調査の時に調査官の見るポイントや注意点、領収書を全部持って帰ると言われて拒否できるのか等、経費の領収書にまつわるお話や注意点などをご紹介しました。

詳しい内容については

「領収書レシート控えのチェックは全部見る?筆跡や日付持ち帰り調べることも!」

を参照してください。

 

今回は売上の領収書についてご紹介していきます。

実は税務調査では経費よりも売上が重視されます。

 

経費は調査官達の税務調査を行うかどうかの事前の調査や時間の関係によっては、前回の経費の領収書の調査の記事にあげた内容を踏まえつつも、調査ポイントを絞ってざっくりと調べる事もありますが、売上に関してはそうではありません。

経費ではスルーされる事があっても、売上がスルーされることはありません。

 

税務調査では売り上げは時間をかけて必ず細かく調査されると覚えておいて頂けると良いかもしれません。

 

今回は、税務調査でもじっくりと調べられる売上の領収書について、

税務調査では売り上げの領収書はどこまでチェックされるのか?調査官の視点、そして知らなければ損するというより危険な領収書の取り扱いの注意点等を今回はまとめてご紹介していきます。

 

現金取引は要注意

昨今、大半の売上の決済方法は90%くらいは振込だと思います。

しかしながら、残りの10%程は振込以外の売上という事になります。

そして振込以外の売上があるという事は、売上の領収書があるという事になります。

 

つまり、売上の領収書があるという事は、基本的には振込以外の売上があるという事です。

 

振込以外の売上というのはどういうものか?と考えた場合、その多くは現金売上(現金取引)だと思います。

もちろん一部、建築会社(個人も含む)等では、小切手や手形という決済方法が取られているかもしれません。

小切手や手形という決算方法の場合でも、領収書を発行します。

ただ小切手や手形の場合は、領収書が発行されますが、銀行での取り立てたり取引先に回したりと基本的に跡がつきます

 

しかし、領収書がある(領収書が発行される)ものの多くは跡が残るこれらの小切手や手形といった取引よりも、跡が残りにくい現金売上(現金取引)になります。

そして税務調査で、調査官が目を光らせているのはこの跡が残りにくい現金売上(現金取引)についてです。

 

何故ならば、領収書を切るものの中で跡が残りにくい現金売上(現金取引)は不正に使いやすいからです。

 

以前の記事で税務調査の種類をご紹介したものがあります。その中で多くの方が対象となるのは事前通知がある任意調査です。しかしながら任意調査の中には事前通知がない任意調査もあるとご紹介しました。

この事前通知のない任意調査の多くはこの現金売上(現金取引)をされている所、例えば飲食業や小売店等、です。

 

このように、売上の領収書があるという事は、不正が行われやすい現金売上(現金取引)が多いことから、まず一番に税務署としては着目するところとなります。

 

つまり、売上の領収書というものがあれば、税務署は必ずしっかりとみるという事になります。どのように見るのかについての調査官の視点については後述します。

 

また、調査官は提出された売上の領収書だけを調査しているのではありません

 

現場確認調査(税務調査で調査官が会社や事務所、店舗、倉庫、工場、自宅などに赴いて調査する事)では、提出された領収書のみではなく、記帳をしてるであろうと思われる机周りや引き出し、ゴミ箱、パソコン等も必ず調べ、そういった観点でも領収書の把握というものを行います。

つまり、提出された売上の領収書以外に、売上除外された領収書やその痕跡につながるものがないかといった事を調べられるという事です。

 

例え、売上の領収書がなく売上は銀行取引のみといった場合でもこれらの調査は必ず行われます。

何故なら現金売上そのものをそもそも除外されているというケースも実際ありますので、その可能性がないのかといった観点で調査されます。

 

まとめますと、売上の領収書は必ずしっかりと調査されます。また提出したもの以外にも領収書が存在しないのか、売上の痕跡に繋がる情報は存在しないのかといった事も調査されます。

 

調査官はこんな所をチェックしている!

調査官が見ているものは多岐に渡り、個々の調査対象によって様々な視点をもって調査を行っているため、全てをご紹介することは出来ません。しかし必ず行われる代表的な調査のポイントがありますので、ここでは一部をご紹介します。

 

まずは、先ほどの(1)の内容と重複しますが、調査官は「売上除外されていないか。」「隠蔽工作されていないか。」といった部分に目を光らせています。

ですので、売上の領収書はしっかりと調査していきます。

 

特に重要なポイントは、「提出された領収書だけをみているわけではない」という事です。申告された売上の内容が事実なのか、申告されていない売上がないかもしっかりチェックしていきます。

 

ですので、現況調査・現場確認調査と言われる調査の場合、机の上・PC・引き出し・手帳・ゴミ箱・押し入れなど一見調査に関係のなさそうな所も調べていきます。

これは、ほぼほぼ必ず行われます。

 

何故なら、売上除外した領収書を見つけるためであったり、手帳に記されている仕事の予定表やメモ書き等をもとに、提出されている領収書や通帳などの売上を記録している資料と一致するのか、申告内容と一致するのかを確認していく為に必要だからです。

 

このように、提出された領収書・資料として残している領収書をみるというよりは、広い意味で領収書のすべてを把握する為に調査されると思って頂ければと思います。

 

そして余談になりますが、調査官は不正に関してとても敏感です。
もし売上を除外していた場合しかも証拠隠滅のために既に捨ててしまって資料が残っていなかった場合でも不正のにおいを嗅ぎとります。このように不正のにおいを感じ取った場合、既に調査対象の所に証拠となる資料が残っていなかったとしても反面調査等を行い裏付けを取っていきますので、売上除外などは絶対にしないように、そして資料はきっちりと保管しておきましょう。

 

後ほど注意点でもお伝えしますが、領収書など保管する義務のある資料類は決して捨てないようにしましょう。絶対してはいけない事ではありますが、既に事前通知が来てしまい実は売上除外をしていてその証拠となる領収書が手元に残っている場合、焦って捨ててしまう方がいらっしゃいますが、絶対に捨てないようにしましょう。不正はバレます。良いか悪いかは別にして、捨ててしまうと折角の事実証明ができるものが無くなってしまう為、反面調査への理由を調査官に与えてしまうだけでなく、本来よりも多く見積もられた売上の計算をされ不当と思われる徴税をされる可能性が出てきます。

 

基本的な事ではありますが、正しい申告を行う事。そして領収書など保管義務のある資料はしっかりと保管する事が大切です。そうすればそもそも税務調査になる確率はぐっと減りますし、もし税務調査の対象となり色々調べられたとしても堂々と対応することが出来ます。

 

話がそれましたが、調査官の調査の視点の話に戻します。

売上の領収書を調査するときに、調査官が領収書の調査でどのような事をみているのか2つ目をご紹介していきます。

領収書の中には、控えが残らない単票式のものと、控えが残る複写式のものがあります。

一般的には複写式の領収書を使う事が主流だと思います。

しかし中には単票式の領収書を使っている場合ももちろんあります。

控えの残る複写式と違って、単票式は控えが残らない為、「実際の売上額がいくらなのかわからない」「誰に切ったのかわからない」「本当に使ってあったかどうか」もわからないという事になります。

では、このような場合調査官はどのようにして、内容をそしてそれが実際に使用されているものだと把握していくのでしょうか。

 

まず、単票式の領収書綴りが出てきたとします。

これがまだ使いかけで、使っていない部分が何枚か残っていたとすると、その残っていたものの一番上にある領収書、つまり一番上にある白紙の領収書を必ず「参考の為に下さい」と調査官はもらいます。

大抵の場合「雛形として下さい」というような形の言い方をすると思います。

 

実は、その調査官が受け取った一番上にあった白紙の領収書には、一枚前に切った領収書の筆圧が残っています。

そして調査官はその貰った白紙の領収書の「名前の欄」や「金額の欄」等を鉛筆等で、うす~くシュシュシュシュシュとすると、文字が浮かんできます。

そうする事で、売上額や取引先を見つけることが出来ます。

勿論単票式の場合、この方法以外に色んな裏付けをとって申告内容が正しいかどうかを見ていきますが、この単票式の領収書の確認はほぼほぼ必ずと言って良いほど行われています。

 

続いて、控えのある複写式の領収書についてです。複写式の領収書の場合、使い終わったものであれ、使用中のものであれ、残っている控えの枚数を調べられます

 

どういうことかと言いますと、複写式の領収書の場合、これは単票式の領収書にも繋がるかもしれませんが、たいがいの領収書は、例えばコクヨの領収書ですと(請求書も同様ですが)、だいたい50組綴り(単票式ですと50枚)というようなものが多いです。

 

そうすると、領収書一冊全てを使い切っていた場合、複写式の領収書は50枚の控えだけが残っていることになります。もちろん使用中の領収書であっても控えの数は50枚と変わりません。

しかし、例えば50枚残っているはずの控えが48枚しか残っていない場合、調査官としては「残りの2枚は一体どうしたのですか?」という話になります。

 

このように調査官から不足している事を尋ねられた場合、よく納税者の方は、「書き損じたので2枚とも捨てました。」と言われます。

ただ書き損じたからといって、本来は別に捨てる必要はありません

 

ですので、次に調査官は「残りの2枚分は売上除外したもので隠したのでは?」もしくは「売り上げに換算していないので(計上していないものなので)その分を捨てたのでは?」というような事を尋ねてくることになります。

 

何故なら、既に破棄されているので事実書き損じたのか、売上除外したのかがわからないという事が起きてしまっているからです。

 

ですので、領収書の控えの枚数というものも必ず確認されます

 

いらぬ疑いをかけられない為にも、安易に捨てないようにしましょう。

本当に間違っていたのであれば、間違った領収書の用紙にはバツを打ったり等して、間違った用紙そのものは、そのまま残しておきましょう

 

本当に間違って捨ててしまった場合でも、そこには証拠が何もないので、調査官によっては金額が不明ではありますが、売上として認定される事もあります

勿論その場合、必然的に売上除外として扱われるため重加算税の対象となります。

 

加えて、領収書の控えの枚数が不足していた場合のデメリットは、

売上除外として扱われ重加算税の対象となるだけでなく、調査官の調査の目が厳しくなります。

 

どういうことかと申しますと、今回の例えを使ってご説明するならば、50枚あるはずの控えが48枚しかない場合、本来あと2枚あるはずの控えがないことになります。

 

そうすると調査官としては「2枚抜いているのかもしれない。」となり「この抜いている2枚の内容をどこか他の所で見つけてこよう。」という事になります。

 

この欠けた2枚の実際の金額や取引先を何とか特定しようとする為、違う綴りには残っていないのか、過去に証拠になるものや事実関係を見つけるものが残っていないか、他にも進行形の請求書や領収書はなかなか破って捨てにくいので、その進行形のものの中に関連するものがないか等、ありとあらゆる視点で調査が行われることになります。

 

以上の事から、たとえ書き損じたとしても領収書は捨てず、書き損じたものは書き損じたまま何かわかりやすい印をつけて、領収書そのものは残しておきましょう。

 

複写式の領収書で、控えの数から調査官が見ている事について他にもありますので、ご紹介します。

 

例えば毎月必ず現金取引をしている取引先が4社あったとします。この事については売上の領収書以外の情報から既に調査官が把握しているとします。

この場合、複写式の領収書であれば、控えを見ると必ず毎月その4社の取引先の領収書が出てくることになります。調査官は必ずちゃんと領収書の控えに残っているのか確認します。

 

しかし、もし毎月現金取引がある4社の取引先のうち、3社の取引先しか領収書で残しておらず残り1社の取引先とは現金取引はするものの領収書を切っていない場合、調査官はどのようにして気づくのでしょうか。

 

毎月の取引なので、本来であれば残っている控えの数は

4社×12か月分の48枚となります。

しかし3社しか領収書を切っていない場合、

3社×12か月の36枚しかないという事なります。

 

36枚÷4社は9か月分となりますので、大体9か月か10か月分くらいの所で調査官に「あれ?少ない?これは抜いているんじゃないか?」と特定されるという事もあります。

 

このように、繰り返しになりますが複写式の控えの枚数は調査官にとって様々な情報を引き出すため重要な調査のポイントの一つとなり、控えの枚数は必ず調査します。

 

売上の領収書で気を付けておく事

捨てない事

税務調査では、経費よりも売上が重視されます。

その中でも売上の領収書というのは、多くは跡が残りにくい現金売上(現金取引)の資料となる為、調査官が特に注意して調査する項目の一つです。

 

ですので、たとえどんな理由があったとしても安易に捨てずに全て残しておく必要があります。

捨ててしまった場合、反面調査の理由付けとなってしまったり、売上除外として認定され重加算税の対象となったり、調査そのものが厳しいチェックとなってしまったりと、税務調査で不利になってしまいます。

 

売上の領収書は大切に保管しておきましょう。

 

領収書は複写式の方が好ましい

領収書は控えがない単票式のものと、控えがある複写式のものがありますが、使用するのであれば、控えがある複写式の領収書の方が良いかと思われます。

 

というのも、現金取引は跡が残りづらい為、不正が行われやすいと調査官は警戒をしています。

つまり現金取引をしている場合、真っ当に申告をしており不正を行っていなかったとしても、領収書以外の資料が十分に揃っていなかったり、その他なんらかの理由によって、調査官が不正を疑いやすくなってしまうという事です。

 

ですので、控えがない単票式を使用するよりも、控えがある複写式の領収書の方を使用し、複写を使って控えにちゃんと残している方があらぬ疑いがもたれない事に繋がる為、領収書は複写式のものを使用されることをおすすめします。

永江 将典

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