相続税の税務調査の連絡が来る前に知っておきたい3つの確認ポイント
相続税の申告をしたが、税務調査の存在を知って不安だ。
税務調査の連絡はどのような方法で来るのか知りたい。
相続税の申告をしてから、しばらくして忘れた頃に税務調査の連絡が来ます。
税務調査が行われる前にどのような流れがあるのか、以下の項目を中心に詳しく解説していきます。
- 税務署からどのような事前通知が来る?
- 誰に連絡が入る?
- 日程はどのように決まる?
- 税務調査を受ける場所は?
- 税理士に依頼していても不利になることがある!?
相続税の専門家として、税務調査に数多く関わってきた税理士経験をもとに、できるだけ分かりやすく書いています。
記事を読んでも分からないことや、
「自分の場合だったらどうなの?」
「資料がそろってないから不安!直接教えてほしい」
などのご質問・ご要望がありましたら、初回無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
「税務調査」連絡が来る前に知っておきたい3つのポイント
相続税の申告を行った場合、相続した財産のボリュームに関係なく、20%の確率で税務調査が来るというデータがあります。
さらに調査に入られた場合、85%もの高い確率で追加の税金を納めなくてはならないといわれています。
よく勘違いされやすいのですが、税務調査とは、いきなり税務署から調査官が乗り込んでくるような慌ただしいものではありません。
どちらかと言えば、淡々とマニュアルに沿って進んでいくような、そんな静かな流れで行われます。
一般家庭において、相続が発生することはそんなに多くないもの。
税務調査が入るにあたって、どんな連絡からはじまるのか、どのような心構えをしておけばいいのかを、以下の3つのポイントを押さえながら確認していきましょう。
- 相続税の申告後、税務調査の連絡が来るのは誰のところ?
- 事前に知らされる内容とは?
- 実際に税務調査を行うのはどこ?
相続税の申告後、忘れたころにやってくるのが税務調査の連絡です。
少なくとも3年、長くて5年以内は、税務調査が来る可能性があることを覚えておいてください。
税務署から「相続税についてのお尋ね」の書類が届く可能性も
身内が亡くなった後、税務署から「相続についてのお尋ね」という書類が送られてくることがあります。
対象者の手元に届くタイミングとしては、以下の2パターンが挙げられます。
- 相続が発生した直後(だいたい6~8か月後)に届く
- 相続が発生して数年後に届く
相続が発生して間もない時の「相続税についてのお尋ね」は、税務署側が手元にある情報をざっと見て「ここには多くの財産があるだろう」と目星をつけて発送しているものです。
相続が発生して数年後の「相続税についてのお尋ね」は、相続税がかからないと判断して無申告だった人の元に届くことが多いです。
「相続税についてのお尋ね」は必ず返信しなければならない、という義務はありませんが、この書類をスルーしてしまうと税務署側が不信感を持つことにつながってしまいます。
なるべく返信するように心がけるのがいいでしょう。
当たり前ですが「相続税についてのお尋ね」が来ないからといって、相続税の申告をしなくてもいいということにはなりません。
税理士に相談を行うなどして、相続税を申告する、申告しないの判断をするのがベストです。
1.相続税の申告後、誰のところへ税務調査の連絡がくる?
税務調査の事前通知は、たいてい電話が使われます。
相続税の申告の際に税理士へ依頼をしていた場合は、担当した税理士の所へ連絡がきます。
税理士へ依頼せず、自分で相続税の申告を行った人ならば、税務調査の連絡は相続人のところに電話がかかってくるのが一般的です。
相続人が複数いる場合は、代表の人が連絡を受けることになります。
代表者とは、たいてい長男、もしくはより多く相続を受けた人が選ばれます。
ただ相続税の税務調査を受けるのは誰かという決まりはなく、故人のお金まわりに詳しい方が対応するのが望ましいでしょう。
また、相続人全員が勢ぞろいして税務調査に立ち会う必要はありません。
税理士に依頼している場合の連絡はどうなるか
相続税の申告を税理士に依頼していたのならば、税務署から税理士へ事前通達があった後、税理士から相続人の元へ連絡が行われます。
ちなみに税理士に事前通知が来るのは、相続税の申告書を提出した際に「税務代理権限証書」を書き、その中にある「調査の通知に関する同意」という欄にチェックをしていた場合に限られます。
上記の「調査の通知に関する同意」にチェックが無かった場合、相続人と税理士どちらにも事前通知が行われることとなります。
もし相続税の申告について複数の税理士が関わっており、代表の税理士が決まっていないときは、すべての税理士の元へ連絡がいきます。
事前通知は税務調査の何日前に分かる?
税務調査の連絡に関しては、おおよそ2~3週間前に行われることが多いです。
そこから日程調整が行われ、税務調査の日が決まります。
詳しい決まりはありませんが、ある程度の余裕をもって事前通知がなされます。
実地の調査を行う場合の事前通知の時期については、法令に特段の規定はなく、また、個々のケースによって事情も異なりますので、何日程度前に通知するかを一律にお示しすることは困難ですが、調査開始日までに納税者の方が調査を受ける準備等をできるよう、調査までに相当の時間的余裕を置いて行うこととしています。
日程調整が可能なのかについては、この後に紹介する「税務調査について日程変更はできる?対応の仕方」をご覧ください。
ここからは、事前通知の際にどのようなことが分かるのかについて、より具体的にみていきましょう。
2.相続税の税務調査の目的がみえる!?事前通知の具体的な内容とは
相続税の税務調査に関する連絡は、ある日突然やってくるものです。
税務署から、と聞いただけでドキッとしてしまうかもしれません。
ここでは、事前通知でどのような事項を告知されるのか、日程変更には対応してもらえるのかなどを知り、いつ事前通達が来ても驚かないように心の準備をしていきましょう。
相続税の税務調査の事前通知のやり方には決まりがある
税務署からくる相続税の税務調査の連絡には、「国税通則法」という法律で定められたマニュアル通りに進められ、決められた流れがあります。
税務調査の事前通知については、国税通則法「第七十四条の九」にて確認できます。
参考:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp)/ 国税通則法
ポイントを押さえておくと、相続税の税務調査をする場合はあらかじめ相続人、もしくは税務代理人として税理士へ事前通知を行います、と法律で決まっているのです。
そして、事前通知として具体的に何を伝えるのかについても、以下のように明言されています。
- 現場で行われる税務調査の日程
- 行う場所
- 目的
- 対象となる税目(今回は相続税)
- 対象となる期間
- 対象となる帳簿書類その他の物件
- その他調査がスムーズに行われるために必要なこと(政令で定めている事)
この内容に従い、事前通知が行われます。
税務調査について日程変更はできる?対応の仕方
税務署から税務調査の連絡があり、日程を提案され、その日にちの都合が悪い場合、それを変更することは可能です。
「指定された日を変えるなんて、大丈夫なの?」と考える方もいらっしゃいますが、そこは柔軟に対応してもらえます。
日程の変更については、相続人本人もしくは税理士(税務代理人)を通して電話連絡を行い、口頭で日程調整を希望すればいいでしょう。
日程変更に伴う書類提出は必要ありません。
税務調査の日程変更に関しては、その理由を説明することが必須となります。
気分が乗らないから、税務調査の日をなるべく遅らせたいから、などの理由から変更を認められることはないので、ご注意ください。
税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者の方や税務代理人の方のご都合をお尋ねすることとしていますので、その時点でご都合が悪い日時が分かっている場合には、お申し出ください。お申し出のあったご都合や申告業務、決算業務等の納税者の方や税務代理人の方の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしています。
また、事前通知後においても、通知した日時について、例えば、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出ていただければ変更を協議します。
なお、例示した場合以外でも、理由が合理的と考えられれば変更を協議しますので、調査担当者までお申し出ください。
3.税務調査が行われる場所はどこ?必ず自宅で行われるもの?
相続税の税務調査は、主に故人が生前に生活していた家で行われます。
ただし、故人の住んでいた家には誰も住んでいない場合などは、相続人の家で調査が行われることもあります。
各家庭の状況に応じて、調査を行う場所が選定されます。
例えば、名古屋に居を構えていた故人の自宅が空き家になり、相続人である故人の長男が東京に住んでいたケース。
- 相続税の申告書は名古屋の税務署へ提出
- 税務調査が行われることが決定
- 名古屋税務署の調査官が東京へ出向いて調査を行う
相続人が絶縁状態のケースはどうなるの?
相続人同士が絶縁状態だというケースも、たまにお見受けします。
遺産分割協議で関係がこじれてしまい、話し合いの余地がなく、さらに税理士が間に入っていないパターンでは、税務署側がそれぞれの所に行き、調査や説明をすることになります。
また、相続人同士が長い間、音信不通だというパターンも。
税務署が調べて、音信不通となっていた相続人のひとりの所在を見つけ、父親が亡くなり相続が発生したことを知らせた、という実例もあります。
相続人側の事情がどうであろうと、税務署は手を尽くして調査を行うのです。
相続税の税務調査の実態について
税務調査の対象になりやすいのはどんな人?
実際に調査官が来たときは、どういう対応をしたらいい?
そんな疑問に答えた、相続税の税務調査の実態を詳しく知ることができる記事もご用意しました。
相続税の税務調査の実態を税理士が徹底解説!時期や頻度、通知が来たときの対策とは?
こちらの記事には、税務調査が入った後、85%の確率で追加納税が出てしまう理由についても書いてあります。
税務署に指摘され追加で税金が発生した場合、一体どれくらいのお金が出ていってしまうのでしょうか?
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 重加算税
追徴課税(追加で発生する税金)には、このような種類の税金があります。
ここは税務調査で指摘を受けてしまった後のペナルティの重さを想像しやすい部分ですので、押さえておいてほしいポイントです。
他にも、税務調査に入られやすい5つのケースなど、相続税調査のすべてをまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
相続税の税務調査の実態を税理士が徹底解説!時期や頻度、通知が来たときの対策とは?
相続税の申告を税理士に依頼するのは8割!でも税務調査に強いのは…
相続税の申告を行う際に「税理士に依頼をした」というケースは8割にものぼります。
税のことは、税理士という専門家に任せるのが一番。確かにそうです。
ただし税理士だからといって、税金に対してすべて知っているわけではありません。
それぞれの得意分野があるのが一般的です。
これから税務調査を受けるかもしれない、と心配する気持ちがあるのでしたら、まずは依頼している税理士さんに対して、軽く聞いてみるといいかもしれません。
「あなたの税理士としての得意分野は?」と。
そのときに税務調査との言葉が出てきたら、ラッキーですね。
税理士が税務署の言いなりになってしまうケースがある
税務調査のツボを押さえた交渉力が無い税理士の場合、税務署側の言い分をそのまま受け止め、追加で支払う税金がどんどん高くなってしまう可能性もあります。
それとは反対に、相続税の税務調査の分野が得意な税理士がついていると、提出する書類関係等はスムーズに進んでいきます。
税務調査官との交渉も、物怖じせずに行うことで、追加で納めるべきだった税金が数百万円の単位で変動する可能性も。
実際に、税務調査が入り、税務署からの指摘を受け、追加で1000万円もの税金を請求されたケースがあります。
依頼していた税理士に交渉力が無く、そのまま税務署の言いなりになってしまえば、1000万円をただ支払う未来が待っています。
けれども、税理士がその道のプロであれば、税務署と交渉を重ね、500万円の追加納税で決着がつく可能性があるのです。
税理士報酬を100万円支払ったとしても、400万円が手元に残る計算となります。
税務調査のウラ側を知っている税理士がサポート
税理士法人エールでは、年間の税務調査対応件数は全国100件以上もあり、様々なケースに対応した経験があります。
さらに、国税局の調査官として働いていた者が在籍しており、サポートを行っています。
相続税の税務調査について、ウラ側すらも知り尽くしている、交渉のツボを押さえた味方ができるということです。
ここまで読んできた中で、相続税の税務調査について、自分たちに何が当てはまるのかどうかなど、数多くの疑問点が頭に浮かんでいることでしょう。
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