相続税の税務調査の実態を税理士が徹底解説!時期や頻度、通知が来たときの対策とは?

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永江 将典

公認会計士・税理士
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相続税の税務調査って、どれくらいの確率でくるの?
もし通知が来たときは、どういう対応をしたらいいの?

 

税務調査というと「とにかくお金をたくさん取られる」というイメージを持った人が多いです。

この記事では「相続税の税務調査」について、調査に来る時期や確率、調査の内容や準備・対応方法などを解説しています。

税務調査について、いつまで心配していればいいのかも分かります。

相続税の専門家として税務調査に長年携わってきた税理士経験をもとに、できるだけ分かりやすく書いています。

 

記事を読んでも分からないことや、

 

「自分の場合だったらどうなの?」

「直接教えてほしい」

 

などのご質問・ご要望がありましたら、初回無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

 

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相続税の税務調査についての実態

相続税の税務調査
 
じつは相続税における税務調査は、税務署にとって大きなお金が動く分野です。

 

けれども、税務調査を受ける側としては、まったく嬉しくない出来事だと感じられます。

税務調査が入るという言葉を聞いただけで、何か恐ろしい事件に巻き込まれたのではないかと思い込んでしまう人も多くいらっしゃいます。

 

大丈夫です。

相続税についての税務調査を数多く担当してきた税理士が、あなたの疑問にひとつずつ答えていきましょう。

 

相続税の税務調査の実態については、以下の項目について徹底解説しています。

 

  • 我が家にも調査が来る?相続税の税務調査に選ばれる確率
  • 相続税の申告書を提出後どれくらいの時期に税務調査がくる?
  • そもそも相続税が時効になる可能性は?
  • 預金通帳の中身を見られてしまうって本当?
  • 知らない人が多数!名義預金について

 

さっそく、具体的な内容をみていきましょう。

 

我が家にも調査が来る?相続税の税務調査に選ばれる確率

相続税の税務調査は、20%程度の確率で選ばれる可能性があります。

つまり、相続税の申告5件あたり、1件が税務調査をされているという計算となります。

 

意外と多いと思いませんでしたか?

 

あなたの知らないうちに、近所のお宅にも税務署から調査官が派遣されている可能性は高そうですね。

 

ちなみに、この確率は個人の相続税に関してであり、法人税や所得税などについて税務調査が行われるのは、だいたい3~5%の範囲だといわれています。

相続税が狙われやすいと世間でウワサされているのは、こんな違いがあるからなのです。

 

選ばれる確率が20%だからといって、税務署はくじ引きをひくかのごとく、ランダムに税務調査をする家庭を選んでいるわけではありません。

ある程度のポイントを押さえて、税務調査に入るのです。

その基準は、いくらからといった単純な金額ではありません。

 

そのあたりの具体的なケースについては、「要注意!税務調査が来やすい5つのケース」にてくわしく解説しています。

 

「相続税についてのお尋ね」が届くケースについて

税務署から「相続税についてのお尋ね」という書類が届くことがあります。

これは、相続発生から6~8ヶ月ごろ、もしくは数年が経過した後に送られてくるという2パターンが存在します。

 

「相続税についてのお尋ね」が来たということは、相続税が発生する可能性が高いと税務署にチェックされている状態だといえます。

すでに相続税について、専門の税理士に相談や依頼をしているならばあまり問題はありません。相続税の申告書の提出を考えていない、もしくは未提出だったのであれば、故人の財産の見直しをした方がいいでしょう。

 

相続税の申告書を提出後どれくらいの時期に税務調査がくる?

あまり知られていませんが、税務調査が入りやすい対象期間というものがあります。

たいていは、相続税の申告書を提出してから、1~2年後あたりに税務調査をするという連絡が来ることが多いです。

 

かつては提出後2~3年後でしたが、最近でははやくなっていて、相続税の申告期限の10ヶ月を過ぎてすぐに税務調査が入るケースも。

相続税の申告書を提出してからだいたい3年を過ぎれば、税務調査の確率は大きく下がるといえます。

 

より具体的な時期ですが、7~10月ごろに電話がかかってくる可能性が高まります。

なぜかというと、税務署の人事異動が7月10日ごろにあるのが主な理由。

7月中に調査官の間で引継ぎが行われ、そこから本格的に調査へと移行していきます。

 

1~3月の確定申告シーズンは税務署内がバタバタするため、この期間中に税務調査の連絡が来ることはめったにないといえるでしょう。

 

そもそも相続税が時効になる可能性は?

相続税の申告書を提出していまうと、税務調査が入る可能性が高まるから、そもそも申告書を提出しなければいいのでは、と疑問に思う人もチラホラいる様子。

 

さらに、相続税にも何年後かに時効があるらしいから、申告しない方が楽だと簡単に考えてしまう人もいます。

 

そう、相続税には時効があります。

ただし、気軽に納税から逃れられる抜け道とはならないことを知っておいてください。

 

基本的に、相続税の時効の期限は5年です。

ただ、これは相続人側が「相続税を申告するもの」だと、まったく知らなかった場合。

 

悪質なケースだと判断されれば、相続税の時効の期限が7年にのびます。

例えば、相続人側が「相続税を申告するべきだと知っていたのに、やらなかった」という、確信犯的な対応をしてしまった場合。

この場合に税務調査が入ってしまうと、ペナルティとして、たくさんのお金を納める結果につながります。

 

「我が家くらいの資産規模だったら、ちょっと黙っておけば分かるはずがない」なんて多くの方が考えてしまうようですが、税務署の調査能力はかなり高いのです。

 

預金通帳の中身を見られてしまうって本当?

びっくりしてしまうかもしれませんが、税務署はあなたの家庭のお金の動きをしっかりと把握することが可能です。たとえ何年前のものであっても。

 

  • 現金で、タンス預金をしていたら大丈夫。
  • いろんな名義で、あちこちに銀行口座をもっているから、分かりにくいはず。
  • ネットで資産運用をしていることは、ばれないんじゃないの?

 

それ、すべて税務調査官は知っています。

 

税務調査をすると決まるあたりから、調査官は特別な権限を使い、ありとあらゆる金融資産についてのリサーチをはじめます。

何年さかのぼるのか気になる人がいらっしゃいますが、当たり前に、預金通帳は過去5年から10年分ほどチェックされてしまいますし、該当者も相続人から、親族までひと通り資産の内容が明らかにされてしまうのです。

 

これは直接、調査官が家にやって来て預金通帳を確認されるわけではなく、銀行側に照会手続きをして、いつの間にか調べ上げられているということ。

 

税務署ですから、収入のボリュームは、すべてお見通し。

入ってきたお金と、出ていったもの、手元にある資産についてほぼ把握されているも同然なのです。

 

隠そうとしても、いいことはひとつもありません。

税務調査のときに、あっさり指摘されて、困ってしまうだけなのです。

 

知らない人が多数!名義預金について

税務調査が入った際に指摘されやすいのが、名義預金についてです。

 

相続税対策として、子どもや孫の名義で銀行口座を作り、そこへ定期的に入金をするなど、贈与税にかからない範囲内だったら問題ないだろうと、多くの方が取り組んでいるのを見かけます。

しかし、これはあまり対策になっておらず、調査官も注目しやすいポイントです。

結局、税金を支払うことになってしまったケースが散見されますので、知っておいてほしいところです。

 

名義預金とは、

 

口座名義=所有者

 

これが成り立たっていない預金のことです。

 

例えば、子どもや孫の名義で預金口座を開設し、そこへ贈与のためにお金を移していたケース。
その預金について子どもや孫がまったく知らない、もしくは金庫にしまわれているなど、当人が自由に入出金を行えない状態であれば、贈与と認められない決まりがあるのです。

そのため名義預金と判断された際には、相続税として税金が課される結果となります。

 

贈与税に比べて、名義預金に関しては認知度が低いこともあり、トラブルが多い部分です。

相続税の税務調査でも質問されやすい点だということを知っておきましょう。

 

税務調査が入ったからこそ嬉しい結果を得られることも!?

財産の流れについて、調査官にアレコレと調べらるのが不快だと感じる方が多数でしょうが、逆のパターンにも遭遇することがあります。

 

それは、故人が家族にナイショで資産をもっていたケース。

 

例えば、妻の知らない間に海外の投資口座にて運用していた資産があり、税務調査の際に、こんな資産がありました、と教えてもらえた、なんてことも。

無かったはずの財産が増えて、調査官が来てくれてラッキーだったと感じた人もいるんですね。

 

要注意!税務調査が来やすい5つのケース

相続税の税務調査
 
税務署が税務調査の対象者を選ぶときには、複数の基準で判断します。

 

明確な基準が存在するわけではありませんが、税務調査が来やすい5つのケースをご紹介しますので、当てはまっていないかどうか確認してみてくださいね。

 

1.無申告のケース

相続税についての無申告を見逃すまいと、税務署は総力をあげて調査をします。

 

近ごろでは「KSKシステム」と呼ばれる最新鋭のシステムを導入し、申告しないケースを無くすべく工夫をこらしています。

 

【国税総合管理(KSK)システム】
KSKシステムは、地域や税目を越えた情報の一元的な管理により、税務行政の根幹となる
各種事務処理の高度化・効率化を図るために導入したコンピュータシステムである。

出典:国税庁ホームページ / 用語解説

 

KSKシステムを使うことで、このようなメリットを生み出しています。

 

  • 税金関連のデータ管理がしやすい
  • 集めたデータをもとに分析を行える
  • 納税証明書の発行をスピードアップ
  • 納税者からの問い合わせにすばやく対応できる

 

ちゃんと相続税を申告する人に不利な状況をつくらないように努力している、という視点でもとらえることができますね。

 

2.相続する財産が高額なケース

想像通りかもしれませんが、相続する財産が多ければ多いほど、税務調査の対象として選ばれやすくなります。

 

おおよその目安としては、3億円を超える遺産相続が見込まれる場合。

たとえ、ちゃんと申告をしていたとしても、計算ミスやうっかりがある可能性が高いとして選ばれやすくなるのです。

 

3.相続人の銀行口座に多額のお金が入っているケース

故人の預金通帳の中身だけではなく、相続人の口座に多額のお金が入金されている場合にも、税務調査が入りやすくなります。

 

故人が亡くなる前後に大金が移動しているなどが分かると、なおさらのこと。

相続税の申告もれの可能性が疑われるため、フラグが立ってしまうのです。

 

4.海外に資産をもっているケース

財産を隠す、税金を少しでも払いたくない意識が強い人は、海外に資産を移していることが多くみられます。

そのため、よりいっそう調査に力を入れており、海外の資産をしっかりと把握されてしまうことにつながります。

 

資産を海外に移動しておけば税務署にバレにくいと思われがちですが、逆にバレやすい、目を付けられやすいとの結果につながっているのが現実です。

 

5.税理士に頼まず、自分たちの力で申告をしたケース

税理士に依頼する費用を惜しんで、相続税の申告を頑張ってやってしまう方もいらっしゃいます。

ただし専門家ではないため、申告漏れなどが見つかりやすいもの。

 

自分たちでやるのがダメだというわけではありませんが、税務調査をされて追徴課税を支払うくらいならば、はじめからプロに頼んだ方が気持ちも楽なのではないでしょうか。

 

NGな税務調査対策!よくあるパターン

相続税の税務調査
 
一般的に、身内が亡くなる前後にやってしまいがちな間違った相続税対策があります。

 

  • 税金を払いたくないから
  • 少しでも手元に残る財産を確保しておきたい
  • 税務署にバレない程度なら大丈夫だろう

 

故人が一生懸命に働いて得た財産なのだから、できるだけ支払う税金を少なくしたいなどの想いがあることでしょう。

 

だからこそ、あまりオススメできない相続税の節税対策について、ここで明らかにしておきますね。

 

亡くなる直前に現金を引き出す

「夫が亡くなった後の葬儀に必要だし、いろんな支払いがあるから引き出しておこうと思って」

夫の死期が近いと知った妻がよく口にする理由です。

死期を悟った本人からの指示を受けて現金を引き出す場合もあります。

 

夫婦に限らず、身内が亡くなる直前は、このような預金をおろす場面が数多くみられるのです。

 

たしかに、支払いに備えてお金を引き出すことが悪いわけではありません。

 

ただ、預金口座からお金が移動した経緯は、すべて記録されて残ってしまいます。

税務署はそこをもれなく調査しているということを、知っておきましょう。

 

死後に大金を引き出す

故人が亡くなる前と同様に、死後に大金を何回かに分けて引き出す行為も、あまりオススメはできません。

 

結局、同じように銀行口座に記録されてしまうため、税務調査が入ったときにそこに対して質問されることは、ほぼ間違いないでしょう。

タンス預金として、現金化して手元に置いていたとしても、調査官に疑われやすくなるだけです。

 

税務調査が入ると通知がきたときは?受ける準備やポイントは?

相続税の税務調査
 
ここからは、実際に税務調査が入ると決まってしまった場合の対応方法について、カンタンに説明していきます。

 

ポイントとしては、無理に隠さないことが一番大切です。

 

すでに依頼している税理士がいるのであれば、事前に打ち合わせをして情報共有を行っておくことです。

 

「マルサの女」のように部屋中を調べられるのか

一般的な相続税の税務調査では、いきなり調査官がやってきて、無理やり部屋中をぐちゃぐちゃにされて調べられることは、ほとんどありません。

どこまで調べるのか不安だと感じる方は多いですが、「マルサの女」のような場面は、めったに出会わないものです。

 

税務調査が入る場合、以下の流れとなります。

 

  1. 事前に税務署から電話連絡がくる
  2. 日程調整が行われる
  3. 当日は数名の調査官がお話をお聞きする

 

調査が行われる場所は、故人の住んでいた家、もしくは相続人の自宅であることが多いです。

税務調査にかかる日数については、調査内容によって異なりますが、調査官が訪れるのはだいたい1~2日で終わることがほとんどです。

 

基本的な流れとしては、税務署の調査員と普通の世間話をしながら、質問などが繰り返されます。

 

相続税の税務調査の場合、自宅にある金庫の位置や預金通帳やハンコの所在、貸金庫の中身などを実際にチェックされる可能性があります。

 

税務調査官には自然な対応を

ここまで説明してきた通り、財産の流れについてはほとんど税務署に筒抜けです。

いくら隠そうとしても、ほとんどバレてしまいます。

 

「私の方が、ご家族のみなさまよりも資産について細かく把握しているんですよ」

 

税務署の調査官は、心の中でそう考えていることでしょう。

 

税務調査のときにされた質問には、肩の力を抜いて答えるようにするのがベター。

ほとんどの方が税務調査に慣れていないので、完全に自然体というのは難しいでしょうが、隠そうという意識は持たないように、というのがスムーズに調査を終えるコツですね。

 

税務調査後、85%の確率で追加納税がでてしまう理由

相続税の税務調査
 
相続税の税務調査をようやく乗り越えても、まだ終わりではありません。

残念ながら、だいたい85%の確率でペナルティとして新たな税金の支払いが発生しているのが事実です。

 

この場合、相続税の申告漏れや評価ミス等についての修正申告を行います。

 

もちろん、無事に税務調査を終えて、ほとんど支払いが無いケースもあります。

それは、しっかりと税理士などの専門家がサポートについているからこその成果であることが多いです。

 

修正申告の際にかかる4つの追徴課税<h3>

 

相続税の税務調査の結果を反映させた「修正申告」をすることで、追加で払う税金「追徴課税(ついちょうかぜい)」を納める必要があります。
追徴課税は次の4種類に分けられます。

 

①延滞税

②過少申告加算税

③無申告加算税

④重加算税

 

以下、それぞれの追徴課税について解説していきます。

 

①延滞税

税務調査で申告漏れがあった場合、必ずかかってくる税金です。

 

平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「特例基準割合(注3)+1%」のいずれか低い割合となります。

 

(注3) 特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。

出典:国税庁ホームページ / No.9205 延滞税について

 

②過少申告加算税

「相続税の申告書類に書いてあった金額が実際よりも少なかったのでは」と指摘された場合に支払うべき税金です。

はやめに修正申告を行うと、加算されないパターンもあります。

 

税務署の調査が入った後だと、10%。

この場合50万円以上だと、15%。

 

③無申告加算税

「本来なら相続税の申告を出すはずだったのに、行わなかったのでは」と指摘された場合に支払うべき税金です。

 

税務署の調査が入った後だと、15%。

自主的に申告をしたならば、5%。

 

④重加算税

「わざと財産を隠していたのでは」と指摘された場合に支払うべき税金です。

 

相続税の申告をしていたなら、35%。

無申告だったなら、40%。

 

なぜ追徴課税がでてしまうのか?

追徴課税が出てしまう一番よくある原因は、うっかりミス。

相続税の税務調査が入ると、85%ほどの割合でペナルティとして追徴課税が出てしまうのですが、ほとんどの場合、故意に隠そうとして発見されてしまったわけではないのです。

 

  • 相続人が財産を把握しきれていなかった
  • 見解の相違があった
  • 依頼している税理士との連携がうまく取れていななかった
  • 税務調査の分野に詳しくない税理士だった

 

以上のような、うっかりミスが原因として挙げられます。

 

相続税の税務調査の不安を消す、本当に必要な対策とは?

相続税の税務調査
 
相続税について税務調査が来るとなると、多くの方が焦る気持ちがうまれ、何をすべきか分からないと不安な気持ちもふくらみます。

 

実際に、税務調査官の訪問に対応し、質問に答え、必要資料を準備しなければならず、大きな負担になることもあります。

 

税理士法人エールでは年間の税務調査対応件数は全国100件以上。

 

相続税の調査をする立場だった国税局OBのサポートもあり、

「財産を隠していた」などの相談しにくいことまで安心してご相談いただけます。

 

ひとりで悩んでいたり、家族の中で話し合っていたりするだけでは、本当の意味での「解決」から遠ざかるばかり。

やはり専門の税理士に相談をしておくと安心です。

 

無理に勉強する時間も大きく節約できますので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

 

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