仮想通貨の税務調査。国内・海外取引所や、取引記録がない(紛失・倒産)場合・無申告・計算が適当なときの注意点

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永江 将典

公認会計士・税理士
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今日は、ヤフーニュースで朝日新聞DIGITALの仮想通貨取引に関する申告漏れ指摘の記事が出ていました。
そこで、仮想通貨の税務調査についてそくある相談や注意点を紹介しようと思います。

仮想通貨取引の税務調査が強化された平成30年

仮装取引の税務調査が強化

平成30年(2018年)は、仮想通貨の確定申告(無申告)に対する税務調査が強化された年でした。
その前の年、平成29年(2017年)、仮想通貨全体が年末にかけて大幅に値上がりしました。

ビットコイン相場は、年初の約20倍。
時価総額トップ10の仮想通貨の中には、それ以上に値上がりするものもありました。

(参考)時価総額Top10通貨の上昇率

イーサリアムは100倍、リップルは200倍。リップル長者の方からのご相談も何件もいただきました。
当時は、仮想通貨の税金・税務に対応している税理士も少なかったことから、北海道、仙台、金沢、広島、福岡、沖縄など
全国各地からお問合せをいただき、はるばる新宿や名古屋まで来ていただく方までいらっしゃいました。

中には、海外移住のご相談をいただき、ドバイやシンガポールへの移住をサポートさせていただいた方もいました。
現在でも国外へ居住地まで移して、日本で課税されない対策をすることも可能です。

詳しくない税理士に相談すると、そんなことはできない!という方もいるみたいですが、今でも可能です。

銘柄 上昇率 価格変動
Bitcoin 約2200% 約99,000円→約1,300,000円
Ethereum 約10000% 約1,200円→120,000円
Ripple 約22000% 約0.8円→約180円
Bitcoin Cash 約600% 約33,000円→約210.000円
Cardano 約4000% 約2円→約80円
Litecoin 約5000% 約450円→約22,000円
NEO 約128000% 約13円→約16,700円
NEM 約30000% 約0.4円→約120円
Stellar 約30000% 約0.2円→約60円
IOTA 約450% 約70円→約320円

仮想通貨取引、50人と30社で100億円申告漏れ指摘

仮想通貨取引の申告漏れ

ヤフーニュースに出ていたタイトルそのままですが、昨年の税務調査では50人の個人確定氏の句と30社の
法人で仮想通貨取引をしていた申告の内容をチェックした結果、100億円の確定申告されていない申告漏れ
の取引が発見されています。

すごい金額ですね。平均すると1人(1社)あたり1億円以上の申告漏れです。

そして、自分の名義ではなく他人名義の取引所口座を作り確定申告しなかったケースや、
わざと売却益を少なく計算して重加算税となった案件もあります。

仮想通貨の脱税の税務調査を専門とする部隊、情報技術専門官とは?

国税局の中には、ネット取引に詳しい専門部隊があり、そこにいる調査官は情報技術専門官という役職の人たちがいます。
国税局内で、IT分野の研修を受けている専門部隊です。

2017年、2018年と仮想通貨の税務調査やアフィリエイト・せどりなどネットビジネスをされている方の税務調査
に同席する際、何度も名刺をもらったことがあります。

税務署の職員だけだとこの分野に詳しくないため、税務署の職員と一緒にくることもあります。

情報技術専門官の恐ろしさ

まぁ、ITに詳しい方達の税務調査です。

調査を受ける側の納税者の方もITに詳しいです。
ですので、パソコンのデータ管理にも詳しい方なんかだとパソコン上のデータをきれいに
消す方もいます。

そんなことは情報技術専門官もわかっているので、ハードディスクのデータを復元するソフトを持参してくることもあります。

調査初日に名刺交換した際、調査官の名刺に情報技術専門官と書かれていたら注意しましょう。
通常の調査より専門知識をもった調査官です。脱税してて誤魔化そうと思っても、うまくボロを出すよう調査を進めてきます(笑)

他人名義の取引口座で取引する行為は重加算税の対象

また、記事の中には配偶者や知人・友人の名義で作成した取引口座を使い、その分を申告しなかったという脱税の例も紹介されています。

税務調査の際、重加算税と認定されることだけは回避したい!と思う方がほとんどだと思います。
重加算税と指摘されると、ほぼ7年間さかのぼって調査され、とんでもない追徴税額になってしまいます。

調査官によっては、重加算税=7年課税と勘違いしてる人もいます。
法律の要件に基づき、正しく反論できれば重加算税でも3年の調査で終わることもあります。
詳しくはこちらの記事で書いてますので、読んでみてください。

税務調査時の重加算税の要件と7年課税の要件の違い

他人名義の口座を利用する危険。名義を貸した人のリスクは?

名義を貸した人のところに税務調査が入る可能性があります。

国税局や税務署は、国内の仮想通貨取引所から口座開設してる方の取引データを入手しています。
そして、取引データがあるのに確定申告していない人がいると、脱税してんじゃね?
と疑います。

取引が多く、利益も出ていそうな口座だと税務調査の対象としてピックアップされ、
国税局や税務署から電話が入り、「税務調査に伺いたいのですが、いつがいいですか?」
と地獄の底に突き落とす電話が突然かかってくることになります。

名義を貸してくれた人が税金を払うことになるの?

税務調査では、取引の形式と実体を見ています。

形式とは、取引口座名義ですね。
実態とは、実際には誰が取引をしていたか?です。借りている人間は誰か?ということです。

完全に借りれ取引してたことが銀行の資金移動などから明らかな場合、
貸していた人に税金がかかることはありません。

借りていた人の確定申告漏れとして判断されます。
そして、他人の名義を借りてそれをまったく申告してない場合。

申告を少なくするため意図的に別口座で取引していて悪質だ!と判断され
重加算税の対象となります。

税務調査で、一番、悪質とみなされるケースです。

名義を貸していた人はどう対応したらいいか?

まずは、名義を貸している人へ連絡しましょう。

そして、税務調査当日は2人で調査に臨み、実態を説明しましょう。

電話で調査依頼がきた際、私は貸してるだけです!と言っても調査はなくなりません。

銀行口座などどこまでバレているか?

一部、情報収集しにくい金融機関もありますが、
取引所の取引データ、入出金データを国税局・税務署は入手してます。

そこで把握できる銀行口座については、銀行へ国の権限で照会をかけるだけですので、
把握されています。

そして、把握された銀行口座から多額な資金移動が頻繁に他人名義の口座に移っていたりすると
他人名義の口座使ってるんじゃないか?というところまで疑われます。

仮想通貨の利益が無申告で税務調査の事前通知があった場合

仮想通貨の税務調査

無申告で税務調査の連絡があった場合。

取引所データからあなたの利益なんてほぼ把握されてると覚悟しましょう。

せめて重加算税を回避しよう!と調査の当日までに修正申告を出そうとする方もいますが、
これは税理士に相談しながら決めたほうがいいです。

自分でやろうとするのは、交通事故にあって大量に流血してるにもかかわらず、
救急車を呼ばずに自分で病院まで行こうとするようなもので危険です。

正直、自分でも正確な利益がわからず申告が適当です・・・

仮想通貨の取引って、利益計算がめちゃくちゃ大変ですよね(-_-;)

通貨間の取引や、他の取引所に送金したり、さらに海外の取引所も使っていると
過去の取引データが出なかったりします。

そうすると、もう過去の利益を計算するなんて不可能です。

確定申告する際、正しく計算したいけどできないので、だいたいの金額で
確定申告してしまった・・・という方も多くご相談をいただきます。

海外取引所のデータは、国税調査官でも把握できない

海外口座の取引データは、現在、国税調査官でも把握不能です。

しかし、あなたに対して海外口座の取引データを出してねという権利があります。
質問検査権と呼ばれる権利で、税金の計算に関係する範囲において調査官に権利があります。
納税者には受忍義務と呼ばれる義務があり、これを断ることはできません。

しかし、納税者本人も海外取引データが入手不可能な場合。
この場合はどうにもならないので、国内取引所からの送金額や海外からの回収額の差額
を計算して利益を推測するなどの方法で税務調査が進められます。

倒産して取引データがない、仮想通貨も回収できない

これも実際にあった事例です。
取引所がなくなってしまい、預けていた仮想通貨も回収できないというケース。

確定申告での扱いも明確になっていないこのケースですが、税務調査の際は
調査官と話し合い、取引にかかわる損失として扱ってもらいました。

ログインできなくなってしまった取引所

国内であれば、申請してパスワードなどを再度発行してログインできるようにしましょう。

海外の取引所で、もうどうにもならない場合。
税務署もどうにもできないので、推測で利益計算をしていくことになります。

税理士がいない場合の仮想通貨の税務調査

仮想通貨の税務調査の相談・税理士

税理士法人エールでは、仮想通貨の税務調査に税理士が同席するサービスを提供しています。
調査の電話がかかってきてしまい、一人ではどうしていいかわかならない!という方は
お気軽にご連絡ください。

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調査の連絡はないが聞いてみたい、というご相談には対応していません。
非常に多くの相談をいただき業務に支障が出てしまったため、お問合せをいただいても回答はしていませんので、ご了承ください。

永江 将典

公認会計士・税理士
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