マッサージ店、整体院、接骨院、鍼灸院、柔道整復師の税務調査

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永江 将典

公認会計士・税理士
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こんにちは。マッサージ店の税務調査に詳しい税理士法人です。

今日は、マッサージ店に税務調査の依頼の電話がかかってきた場合、どのようなことを調査されるのか紹介したいと思います。

 

マッサージ店、整体院、接骨院、鍼灸院、柔道整復師の税務調査のポイント その1

マッサージ店の税務調査
 

個人事業のマッサージ店や、会社で経営しているマッサージ店の場合でも、

数店舗で運営している場合には、税務調査は2日か長くても3日で終わる場合が多いです。

私が、関与した先もほとんど2日で終わっています。

 

では、マッサージ店で一番チェックされるポイントは、なんだと思いますか。

容易に想像できると思いますが、やっぱり売上です。

なぜかというと・・・、そうです。ほとんどのマッサージ店の売上が現金売上だからです。

だから、やろうと思えば、現金で受け取った売上代金の一部をそのまま自分のポッケにいれてしまえば・・・闇に消えてしまいます。

従って、税務署もそこに不正があると推測し、調査官は絶対に疑いの目でチェックをしてきます。これは、あなたを疑っているわけではなく、業界としてそういう傾向にあるためです。

 

また、現金商売に共通して言えることですが、税務官は、税務調査前に、事前調査として、客としてサービスを受け、その際に現金の取り扱い、価格表、繁盛しているか否か等を確認している可能性が高いです。もちろん、ホームページをお持ちでしたら、それも確認しているでしょう。

そして、現金商売のため、予告をして税務調査に入ると、税務調査までに不正を行われるリスクがあるため、予告なしで税務調査に入ることが一般的です。

 

少し話がずれてしまいましたが、

では、実際にどのようにして売上の漏れがないかチェックされるか、紹介したいと思います。

 

マッサージ店の税務調査

 

税務調査1日目の午前は、雑談で終わることが多いです。

その雑談の中からも、売上除外につながる情報を入手しようとしています。

例えば・・・

「お店の調子はどうですか?」

「一日の売上はいくらくらいですか?月の売上は?」 ⇒ 帳簿上の売上とあっているか

「何人くらいの人がお店に来ますか?」 ⇒ 帳簿上の売上とあっているか

「どのあたりの市町村の人が来ますか?」 ⇒ 売上にその地域の人が入っているか

といったことを考えながら、聞いてきます。

そして、一番売上除外の発見につながるのが、

「治療の予約はどうやって管理していますか?」という質問です。

通常、マッサージ店は、治療の予約がダブらないように、スケジュール管理していますよね。

そこには、何月何日に誰がくるか書かれていると思います。

このスケジュール管理表と帳簿の売上を確認して、

スケジュール管理表には乗っているけど、帳簿の売上には載っていない人がいれば、

めでたく脱税発見。調査官が心の中でガッツポーズをする瞬間です。

 

税務調査は、経理の帳簿をチェックするだけではありません。

このように、経理の帳簿の元(売上・仕入・経費の管理資料)もチェックの対象となりますので、覚えておいてくださいね。

では、スケジュール管理表など、売上をチェックするための資料が全くない場合、税務官はどのように売上を推測するのでしょうか。無申告の税務調査でよくあるパターンです。

いくつか例を挙げてみます。

・タオルの使用量から売上を推測する

⇒先ほどの雑談の中で1回あたりのタオル使用数量を確認し、タオルの仕入先やクリーニング業者等に調査を行い、売上を推測する方法

・水道光熱費から売上を推測する

⇒タオルを店内にある洗濯機で洗って使用しているお店の場合、直近の売上をしっかりと把握したうえで、その時の水道光熱費を基準に過去の売上を推測する方法

タオル以外にも、マッサージで使用する消耗品(例えば、アロマオイル等)を基準に売上を推測する方法も考えられます。

 

マッサージ店の税務調査のポイント その2

マッサージ店の税務調査

 

次に税務官が確認するポイントは何でしょうか。

外注費です。

従業員として給与を支払っている場合は、論点にはなりませんが、外注費として支払っている場合、税務官と意見が対立するケースが多いです。

「外注費か給与か」は、税務調査では典型的な論点ですので、ここで整理したいと思います。

 

税務官はなぜ外注費を疑うのか?

そもそも、なぜ税務官は、外注費ではなく、給与ではないかと疑うのでしょうか。

詳細は割愛しますが、

支払う立場からすると、「外注費」として処理した方が、「給与」として処理するよりも、消費税の支払いが少なくて済むためです。

そのため、働き方の実態が「給与」に相当するにもかかわらず、支払う消費税を減らしたいために「外注費」として処理しているのではないかと、税務官は疑うのです。

その他にも、「給与」と認定されてしまうと、源泉徴収が必要になりますし、会社形態の場合、社会保険にも介入しなければなりません。

要は、みなさんの負担が大きいのです。だからこそ、税務官は疑います。

 

外注費か給与かのポイント

マッサージ店の税務調査

 

では、外注費か給与かの判断基準はどうなっているのでしょうか。

国税庁の通達では、以下のように記載されています。

 

事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。

 

  • その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。

⇒YESなら外注費、NOなら給与

  • 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

⇒YESなら給与、NOなら外注費

  • まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

⇒YESなら給与、NOなら外注費

  • 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

⇒YESなら給与、NOなら外注費

 

通達に記載のとおり、総合的に判断しますので、どのように判断されるかはケースバイケースです。

また、請負契約書を締結すればOKですよね、とよく聞かれるのですが、そうではありません。税務官は、実態に応じて判断するので、請負契約書を締結していても、実態がそうではなく、「給与」であれば、「給与」と認定します。

正直に申し上げれば、マッサージ店で働く方について「外注費」として整理するのは比較的難しいのかなという印象です。

例えば、経営者は、マッサージする場を提供し、その場所代を収受しているようなケースだと外注費として認められる可能性がありますが(客に対する自己責任はマッサージ師が負う等、その他の要因も大切)、通常は、そういうケースは少ないのではないでしょうか。

 

「外注費」か「給与」かについては、非常に難しい問題ですので、慎重に取り扱う必要があるという事は、まずは認識していただきたいです。

 

 

マッサージ店の税務調査 架空人件費

マッサージ店の税務調査で、
よくチェックされる項目のなかに、架空人件費があります。

スタッフを採用していない場合でも、
奥さんや家族に青色事業専従者給与を払っていれば、
チェックされます。

スタッフを採用して、人件費を支払っていると、
架空人件費が含まれていないか?
というポイントがチェックされます。

もちろん、架空人件費を払っていな場合であれば、
堂々と調査官の質問に答えていれば何も問題ありません。

架空人件費のチェックは、特に現金払いの場合は
より疑わしいので、チェックされやすいです。

給与を払っている人の履歴書の有無や、
実際に出勤しているか、連絡が取れるかなど確認されます。

以上、名古屋の税理士法人がお届けしました。

 

これからも税務調査で損をしないための交渉術や、確定申告の節税に役立つ情報を紹介します。是非、参考にしてみてください( ´∀`)

永江 将典

公認会計士・税理士
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