税務調査の確率はどれくらい?調査が来やすい人の特徴と対策

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永江 将典

公認会計士・税理士
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税務調査が突然入るという話を聞くだけで、多くの個人事業主や法人経営者の方は不安になるかもしれません。しかし、実際に税務調査がどれくらいの確率で行われるのか、どのような特徴があれば税務調査の対象となりやすいのかを理解しておくことで、その不安を少しでも軽減することができます。本記事では、税務調査の確率や調査のターゲットとなりやすい特徴、そして税務調査を避けるための対策方法について詳しく解説していきます。安心して経営を続けるための参考にしていただければ幸いです。

税務調査の確率

税務調査の確率は多くの個人事業主や法人経営者にとって気になるポイントです。そこで今回は、個人事業主と法人それぞれの税務調査の確率やその背景について詳しく解説していきます。具体的な数字や傾向を把握することで、税務調査のリスクに対する意識を高め、必要な対策を講じることができるでしょう。

個人事業主と法人に税務調査が入る確率【0.5%~1%】

国税庁の報告結果によれば、税務調査が入る確率は個人事業主では0.5%~1%、法人では3%前後、ということが分かっています。一部の人は「確率が低いから自分は大丈夫」と思うかもしれませんが、油断してはいけません。確率が低いからといって、税務調査が避けられるわけではないのです。
例えば、未申告の所得が発覚した場合、重加算税が課せられる可能性があります。さらに、調査が長引くと業務への支障も避けられません。確率が低くても税務調査のリスクはゼロではありません。しっかりと対策をしておくことが重要です。

税務調査の確率が1%だとしても安心とは言えない理由

税務調査の確率が1%だとしても、決して安心できるわけではありません。なぜなら、一度調査が入れば、経営者にとって大きな負担となるからです。

税務調査が行われると、過去数年分の帳簿や領収書を詳細にチェックされます。適切な証拠が揃っていなければ、罰金や追加納税を求められることも珍しくありません。さらに、調査の過程で、予想外の問題が発見されることもあります。
このように、税務調査が入ることは、経営者にとって大きなリスクを伴うのです。

また、最近では税務調査にAIの導入を始めるなど、税務調査の件数や精度が上がっています。
たとえ1%の確率であっても、きちんとした帳簿管理と納税申告を行い、リスクを最小限に抑えることが必要です。

税務調査されやすい個人事業主の特徴

税務調査が個人事業主に入る確率は比較的低いですが、無申告状態や申告漏れが多い業種、経済活動が活発なビジネス展開をしている個人事業主は、税務調査の対象になりやすいです。それでは、具体的にどのような特徴を持つ個人事業主が税務調査を受けやすいのかについて詳しく見ていきましょう。

無申告(確定申告をしていない)状態

無申告(確定申告をしていない)状態というのは、税務署は、無申告者に対して厳しく取り締まりを行う傾向があります。
無申告が発見され、税務調査が入ってしまった場合、重度のペナルティのリスクが非常に高くなります。

無申告がどのようにしてバレるのか、ペナルティはどのようなものか、についてはこちらの記事に書いています。
無申告・脱税していた個人の税務調査。

結論として、無申告の状態を避けることが、税務調査のリスクを低減する重要なポイントです。
確定申告は合法的なビジネス活動の基盤であり、税務署との円滑な関係を保つためにも、しっかりと行いましょう。

申告漏れが多い業種(経営コンサルタントやSEなど)

経営コンサルタントやSEなど、特定の業種は申告漏れが多い傾向があります。

これらの業種では収入や経費の計上がやや複雑な上、依頼者との契約が多岐にわたります。故に無意識に申告漏れが発生しやすいのです。特に個人事業主の場合、税務知識が不足していることもその一因です。

もちろん、これらの業種に属するすべての個人が申告漏れを起こしているわけではありません。しかし、当局は申告漏れのリスクの高い業種を把握しており、これが税務調査の対象として注目される理由の一つと言えます。

したがって、経営コンサルタントやSEなどの業種は特に慎重に確定申告を行う必要があります。他の業種よりも税務調査のリスクが高いことを意識しましょう。

経済活動が広がっているビジネス展開

経済活動が広がっているビジネス展開では、税務調査の対象になりやすいです。理由は、急成長する企業や業態が変化することで、税務に関わる数字の誤魔化しが発生しやすくなるからです。

実際にあった税務調査の例でいえば、急成長している市場にも関わらず売上の申告が毎年同じくらいである場合は売上を過少申告しているのではないかと調査に入るケースもあります。

このように、経済活動が活発な業界は、税務署も注目しやすく、税務調査を避けるためにはより一層の注意が求められます。

税務調査されやすい法人の特徴

法人に税務調査が入るリスクは、個人事業主と比較して異なる特徴があります。特に中小企業や新規法人は、税務調査のターゲットになりやすい傾向が見られます。また、売上や経費に不審な点がある場合や現金商売を行っている法人も、税務調査の対象となることが多いです。これらの特徴を理解し、適切な対応策を講じることが、税務調査を未然に防ぐ鍵となります。

中小企業や新規法人は特に注意

中小企業や新規法人は特に注意する必要があります。税務調査の対象になりやすいからです。

税務調査の対象となる要因は様々ですが、一例を言えば、新規法人はまだ実績が少なく、税務面での不備が発生しやすいです。帳簿が正しく管理されてないことが多いため、税務署から目をつけられることがあります。また、中小企業は資金管理や経費計算がずさんになりやすいです。これにより、申告内容に不審な点が発生し、税務調査のリスクが高まりやすくなります。

税務調査を避けるためには、日常的に帳簿をしっかり管理し、正確な申告を行うことが重要です。
また、顧問税理士を雇うことで、不明点を常にクリアにしておくことも効果的です。

売上や経費に不審な点がある法人

売上や経費に不審な点がある法人は税務調査の対象になりやすいです。

売上や経費に不自然な動きが見られる場合、税務当局は「正しく申告されているか?」と疑います。例えば、売上の急増や急減、経費の異常な増加などが挙げられます。

例えば、売上がある月だけ極端に高い場合は、その裏で取引が隠されている可能性を疑われます。同様に、年度末に経費が急増する場合も「本当に必要な支出か?」という疑念を招きます。

もちろん、売上や経費には変動があるものですが、それが急激かつ不自然であると、税務調査の可能性が高まるわけです。

現金商売を行っている法人

現金商売を行っている法人は、税務調査の対象になりやすいです。なぜなら、現金取引は収入の実態を把握しづらく、脱税や申告漏れが非常に発生しやすいからです。

例えば、飲食店や小売業では売上を現金で受け取る場合が多く、レジの記録が正確でないと収入が過小報告されることがあります。また、サービス業や建設業でも現金での取引が多いため、同様の問題が起こりやすいです。

税務調査を避けるためには、日々の記帳を正確に行い、レジの記録や領収書をきちんと保存することが大切です。現金取引の管理には細心の注意を払い、不正や誤りのない申告を心がけましょう。

税務調査に入られないための対策方法

税務調査は多くの事業者にとって避けたいものであり、そのための対策が求められます。特に、意図的な無申告や過少申告などの不正は絶対に行わないことが重要です。また、経費の正確な計上や日々の記帳を丁寧に行うことも大切です。以下では、具体的な対策方法について詳しく解説していきます。

意図的な無申告や過少申告などの不正を行わない

意図的な無申告や過少申告などの不正は絶対に避けるべきです。なぜなら、これは違法であり、重大なペナルティを受ける可能性があるからです。

例えば、無申告の状態が続くと、追徴課税や罰金が科されることがあります。また、過少申告も同様に厳しい罰則が待っています。税務署は多くの方法で納税者の不正行為を見抜くことができるため、このようなリスクを冒すのは非常に危険です。

よく、「バレなければ大丈夫」と考える人もいますが、それは大きな誤解です。税務署はデジタル化が進んでおり、取引履歴や収入の流れを細かくチェックできます。一度不正が発覚すると、信用を失い、今後のビジネスにも大きな影響を及ぼします。

不正は行わなず、正しい申告を行い、必要な税金を納めることで健全な経営を続けていきましょう。

計上できる経費をしっかりと把握する

経費の計上をしっかりと把握することは、税務調査を避けるための重要なポイントです。

日々の交通費や接待費は、業務に関連したものであれば経費として計上可能です。ただし、プライベートで使用した分を混同しないようにすることが必要です。また、家賃や光熱費などは、業務用として使用した割合を正確に計算して経費に含めることが求められます。

「細かく計算するのが面倒」と感じるかもしれません。しかし、不正確な経費計上は税務調査のリスクを高めるので避けるべきです。

結論として、経費を正確に把握し、適切に計上することが、税務調査を避けるための基本です。また、誤りがあった場合には迅速に修正し、透明性を保ちましょう。

日々の記帳を丁寧に行う

日々の記帳を丁寧に行うことは、税務調査を避けるための基本的な対策です。

税務署は記帳のミスを見逃しません。正確な帳簿管理が求められます。手間がかかりますが、後々大きなトラブルを避けるための基本です。

毎日の売上や経費をその日のうちに記帳しましょう。レシートや領収書は整理して保管します。月末にまとめて行うと、ミスが出やすくなります。

ちょっとした手間を惜しまずに取り組むことで、結果的に時間とコストを節約できます。

日々の記帳を丁寧に行うことで、税務調査に対する準備が整い、不安要素を減らすことができます。そして、事業の健全な運営にも直結します。

よくある質問と回答

税務調査について多くの方が抱く疑問をここで解消しましょう。初めて税務調査に直面する個人事業主や法人の経営者にとっては、不安や疑問がつきものです。以下に、よくある質問とその回答をまとめましたので、参考にしてください。

税務調査が来たらどう対応すればいいですか?

税務調査が来たら、冷静に対応することが重要です。まず、自分が対応できる範囲か、専門家に任せるべきかを判断してください。

税務調査が来る理由は多岐にわたります。無申告や過少申告などの不正が見つかると、高額な追徴税が課されることがあります。事前に準備をしておくことで、リスクを最小限に抑えられます。

「対策が完璧なら調査は来ない」と思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。税務署はランダムに調査を行うこともあります。どんな場合でも、誠実かつ冷静に対応することが大切です。

結論として、税務調査が来たら、冷静に対応し、専門家のアドバイスを受けることが最善の方法です。日頃からの準備が、対応できる鍵となります。

顧問税理士は本当に必要ですか?

顧問税理士は必要です。その理由は、税務に関する専門的な知識や経験を持つプロのサポートなしで、複雑な税務処理を正確に行うのは時に困難であるからです。

税法は頻繁に改正されます。これらの変更に追随するだけでも多くの時間と労力がかかります。さらに、適用される税制の細かな違いを理解しないと、無意識のうちに法に違反してしまうリスクがあります。

顧問税理士の費用が高いと感じるかもしれません。しかし、その費用以上に得られる安心感と、税務リスクの軽減、そして節税効果を考えれば、投資として価値があります。税務上のことを顧問税理士が対応してくれるため、事業運営に専念できます。

「自分でできる」と言う方もいますが、税務の全てを正確に把握するのは中々難しいです。また、ミスが発生した場合のリスクを考えると、専門家に任せる方が賢明な場合もあります。

結論として、顧問税理士は税務リスクを軽減するために必要です。安心して事業に取り組むためにも、顧問税理士のサポートを受け入れることをおすすめします。

法人化すると税務調査の確率はどれくらい変わりますか?

法人化すると税務調査の確率はやや高くなります。理由は法人の経済活動の規模や複雑性が増すためです。例えば、法人化すると従業員の給与や設備投資などの経費が増えます。これにより、利益の計上方法に不具合が生じる可能性が高まります。また、新設法人は税務当局からの関心が高くなり、調査の対象になりやすい傾向があります。

また、法人は法人税や消費税など多岐に渡る税目に対応する必要があるため、税務調査の対象になる確率は高まりやすいといえます。

法人化による税務調査の確率は個人事業主に比べて高いことを理解し、適切な経理処理と必要に応じて適切な税務相談を受けることが重要です。

まとめ

税務調査の確率と特徴について解説してきました。個人事業主と法人のそれぞれに税務調査が入る確率や、どのようなビジネスが調査されやすいか、そして調査を回避するための対策方法をお伝えしました。今後の経営に役立てていただければ幸いです。

永江 将典

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