【知っておきたい!】税務調査は何年前まで調べる?3つの期間と税務調査対策法

最終更新日

Comments: 0

永江 将典

公認会計士・税理士
プロフィールへ


誰もが一度は耳にする「税務調査」について、その対象となる期間がどれくらい遡るのか、はたしてどのような準備が必要なのか、知っておくべき点を解説します。税務調査は通常、過去3年間の記録をチェックすることが一般的ですが、例外的な状況や重大なケースにおいてはさらに古い年度にまでさかのぼって調査が行われる場合があります。また、調査への対応策や書類の整理方法、よくある質問への回答も紹介します。税務調査の準備の助けとなれば幸いです。

税務調査が何年前まで遡れるのか?

税務調査では、税務署が過去にさかのぼって調査を行うことがありますが、その期間はどのくらいなのでしょうか。一般的には過去3年間とされていますが、状況によっては5年や7年前までさかのぼることもあります。この部分では、税務署がどのくらいの期間を見るのかという点について解説していきます。

通常の税務調査期間:過去3年

日本の税務調査では、通常、過去3年間の税務記録に対して調査が行われます。これは税法により定められており、国税局はこの期間内の申告内容や計上に誤りがないかをまず確認します。

この3年間という期間は、税務調査の標準的な枠組みとして設定されています。税務申告後、何らかの疑問点が浮上した場合、国税局は迅速にこれを精査したいと考えます。したがって、過去3年間の記録は、いつでも正確に確認できる状態に保つ必要があります。

例えば、ある会社が2019年から2021年にかけての税務申告を行ったとします。この場合、2023年の税務調査では最も古くても2019年の記録まで遡って調査されます。

例外的な調査期間:過去5年

税務調査は通常、過去3年間の記録を調べますが、特定の条件下では最大5年間まで遡って調査することがあります。これは例外的な調査期間と呼ばれています。

この5年間という期間が設定される理由は、税務当局が特に疑いを持つ場合や、継続的な誤りが疑われるケースなど、通常よりも深刻な問題が考えられる時に適用されます。例えば、過去に遡って不正が疑われる場合、税務当局はより広範な調査を行う必要があるため、この長期間の調査が許されています。

しかし、ただ単に期間が長いからといって必ずしも企業や個人が不利になるわけではありません。実際には適切な記録保持と正確な申告によって、調査を迎える際の不安を大幅に減少させることができます。

最終的には、税務調査が5年前まで遡る例外的な状況は、特別なケースに限定されていることが多いです。

重大なケースの調査期間:過去7年

特に重大な違反が疑われるケースにおいては、税務調査は過去7年間までさかのぼって実施されることがあります。

これは、税務上の不正や脱税が疑われる場合に限定されています。通常の個人や法人では発生しないような大規模な違反が対象となるのです。

例えば、極めて高額な税額の未申告が発見された場合や、虚偽の帳簿記録が指摘された状況です。

こうした状況は極めて稀ですが、起こり得るため、専門家との事前の対策と準備が必要です。

とはいえ、余程のことがない限り調査期間が7年に及ぶことは、普段から適切な税務管理を行なっている企業や個人にとってはほとんど心配する必要がないケースです。

税務調査における書類の保存期間

税務調査で重要なのが、書類の保存期間です。税務署は法人や個人事業主に対して、一定期間の文書保存を義務付けています。この保存期間を守ることは、万一の税務調査に備える上でも欠かせないポイントです。また、適切な書類管理は税務調査がスムーズに進むために必要不可欠です。

法人の保存期間

法人は重要な書類を7年間保持する必要があります。この期間は、税務調査の可能性に備えて、適切な記録として残すためです。税法では、特に帳簿や関連書類の保持が求められており、これに従うことが法的義務となっています。

例えば、売上記録、購入記録、給与台帳などがこれに該当します。これらの文書は、税務調査時に所得や支出の正確性を証明するために重要な役割を果たします。

すべての文書を7年間保管することが負担に感じるかもしれませんが、税務調査に際してスムーズな証明材料として機能するため、最終的には企業の利益につながるでしょう。

個人事業主(青色申告)の保存期間

個人事業主(青色申告者)は、書類の保存期間が7年間です。これは万が一の税務調査に備えて必要な期間とされています。また、青色申告特有の控除などを受ける場合、適切な記録と書類の保存が求められます。

収支内訳書や領収書、請求書などの財務関連文書を適切に整理し、7年間保管することが必要です。これにより、万が一の税務調査が行われた際にも、自身の申告内容を正確に証明することが可能となります。

個人事業主(白色申告)の保存期間

個人事業主(白色申告)の方は、必要書類を最低5年間保管する必要があります。

例えば、収入、支出の領収書や請求書、そして銀行の取引明細など、事業に関連する全ての文書が該当します。これらの文書を適切に整理し、保管することで、税務調査の際に迅速かつ正確な情報提供ができ、スムーズに調査に対応できます。

税務調査の過程で知っておくべきポイント

税務調査が行われる際には、その手法や流れについてあらかじめ理解しておくことでスムーズに調査に対応できます。特に、多くの方にとっては、税務調査は緊張感を伴うなかで、適切な対応が求められます。ここでは、税務調査の基本的な流れや、税務調査を迎えるうえで心構えとして持っておくべきポイントについて説明していきます。

税務調査の流れとは?

税務調査の進行は段階を追っています。税務署からの通知を受けた後、事前の準備、実地調査、報告の受け取りの流れがあります。

通知を受け取ったらまずは対象年度の書類を整理し、必要に応じて税理士と打ち合わせを行います。調査官が来訪した際には、質問に正確に答えることが求められ、疑問点はその場でクリアにしておくべきです。事前準備が万全であればあるほど、調査はスムーズに進みます。

一方で、調査が進行中に不正が見つかった場合や、申告漏れが発覚した場合には厳しい対応をされがちですが、これは必ずしも納税者の意図的な過失だとは限りません。純粋な誤解や見落としが原因の場合も多いため、落ち着いて対処することが重要です。

税務調査の流れを知り、対策を講じることで税務調査はずっと円滑に、そして公平に進めることができます。

税務調査中の対応策

結論から申し上げますが、税務調査中の対応策は、落ち着いて適切に情報を提供することが最も重要です。

税務調査官は提出された資料や説明から不整合がないかを精査します。その過程で、誤解を招くような情報提供は後に大きな問題に発展する可能性があります。ですから、正確さと透明性をもって情報を提供することが求められます。

具体例を挙げますと、例えば、誤って不正確な情報を提供してしまった場合、それが意図的なものであると誤解されるリスクがあります。正しい記録と文書を用意し、必要に応じて税理士と事前に話し合うことで、このような誤解を未然に防ぐことができます。

終わりに再び結論を述べますが、税務調査中の対応策としては、正確で透明な情報提供を心掛け、専門家の意見を参考に準備することが極めて重要です。

税務調査の前に準備しておくべきこと

税務調査を控えている場合、事前の準備は非常に重要です。万全の準備をしておけば、調査中のストレスを軽減し、適切に対処することが可能です。次に、税務調査に臨む前に整えておくべき主要な準備事項について解説します。

必要書類の整理と確認

税務調査の前には、必要書類の整理と確認が欠かせません。きちんと準備をしておくことで、調査がスムーズに進み、調査官の疑問点を迅速に解決することができます。

例えば、過去3年間の税関連の申告書、領収書、帳簿などの書類を整理し、ファイルにまとめておきます。これらは税務調査で最もよくチェックする書類であり、これらが整理されていることで、調査官の信頼を得られることもあります。

税務調査を迎える準備を整えることで、調査時の心理的なプレッシャーも軽減され、事実に基づいた適切な対応が可能となります。

専門家への相談

税務調査に際して税理士(特に税務調査を専門とする)へ相談することは非常に心強い味方となります。専門家には税務に関する広範な知識と経験があり、具体的な対策や問題解決のアイディアを提供できるため、事前に相談することで、調査をスムーズにかつ有利に進行させることが可能です。

専門の税理士であれば、過去の類似案件をたくさん扱ってきた経験から、どのような書類が必要か、どのように対応すればよいかの具体的なアドバイスを提供してくれることでしょう。こうすることで、税務調査において何を準備し、どのように対応するかの事前準備が可能となります。

よくある質問と回答

税務調査について、多くの方が持っている疑問や不安にお答えします。実際に調査を受ける際に役立つ情報をわかりやすく解説していきます。実際に調査を経験したことのない方でも、これらの情報を知ることで調査にも落ち着いて対応できるでしょう。

5-1.税務調査の通知は事前にあるのか?

税務調査の通知は原則として事前にあります。事前通知により、対象となる年度や確認される項目について知らされるため、適切な資料の準備や必要な対応が可能となります。

特定のケースでは予告なしに調査が始まることもありますが、これは極めて例外的であることを理解しておくべきです。

調査に選ばれる基準は何か?

税務調査に選ばれる基準は様々です。国税局には特定の基準に基づいて調査対象が選ばれます。この基準には、過去の申告履歴や収入の急激な増減、外部からの情報提供などが含まれます。

例えば、申告内容に毎年大きな変動が見られる場合や、業界内での平均収益と比較して異常に高い収益を報告している企業です。また、他の調査や監査から得られた情報により選定されることもあります。

調査中に不利益を避けるにはどうすれば良いか?

税務調査中に不利益を避けるためには、正確で透明な記録と調査時の対応が重要です。これは、誤解や疑惑を未然に防ぐだけでなく、自己の権利を保護する上でも必須です。

調査官は税務上の法律のプロです。一人で対応するのが難しい場合は税務調査を得意とする専門の税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

この記事を通じて、税務調査が何年前までさかのぼれるのか、書類の保存期間、税務調査の流れと対応策、さらに事前準備について解説しました。税務調査に直面しても慌てないための重要なポイントをおさえ、適切な対応ができるよう準備ができるようにしましょう。

永江 将典

公認会計士・税理士
プロフィールへ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントする