現金リベート(紹介料)が発見され、反面調査で相手に税務調査が入る危険性

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永江 将典

公認会計士・税理士
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仕事を紹介してもらったお礼に、提携先に紹介料を払うとことはビジネスでもよくあることですね。

税務調査が入ることになった際、よくいただく質問の一つが今回の

「現金で払ったリベートは、反面調査で相手にも税務調査が入るリスクありますか?」

とういものです。今日は、この相手に迷惑をかけずに税務調査を終わることはできるのか?解説します。

リスク低:現金リベートはあるが、申告上も経費に入れてなかった場合

このケースは、

「リベート先へ反面調査に行きます、連絡先を教えてください」

と指摘さえる可能性はほぼないです。

申告書上、経費計上していないので、リベートの分の税金も自分で被ってるわけです。

あなたが稼いで、税金を払ったあとのお金で紹介料を払っている状態であり、何か言われたら

「自分が稼いだ金をどう使っても、あなたに関係ないでしょ!」

と税務調査官に伝えましょう。

税法の目的から考えてみる

現金リベートの税務調査

税務調査は、所得税法や法人税法に基づき行われます。

税務調査の法的根拠:税務調査の意義

(1) 法第7章の2において、「調査」とは、国税(法第74条の2から法第74条の6までに掲げる税目に限る。)に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいう。
(注) 法第74条の3に規定する相続税・贈与税の徴収のために行う一連の行為は含まれない。
(2) 上記(1)に掲げる調査には、更正決定等を目的とする一連の行為のほか、再調査決定や申請等の審査のために行う一連の行為も含まれることに留意する。
(3) 上記(1)に掲げる調査のうち、次のイ又はロに掲げるもののように、一連の行為のうちに納税義務者に対して質問検査等を行うことがないものについては、法第74条の9から法第74条の11までの各条の規定は適用されないことに留意する。
イ 更正の請求に対して部内の処理のみで請求どおりに更正を行う場合の一連の行為。
ロ 修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は源泉徴収に係る所得税の納付があった場合において、部内の処理のみで更正若しくは決定又は納税の告知があるべきことを予知してなされたものには当たらないものとして過少申告加算税、無申告加算税又は不納付加算税の賦課決定を行うときの一連の行為。

引用元:国税庁HP質問検査権

税務調査の目的は、納税者がちゃんと税金を払っているかチェックすることです。適正納税しているかのチェックです。
ですので、税金を払った後のお金の使い方は税務調査の対象ではありません。

よって、確定申告の際、現金リベートを経費にいれてなければ、

「自分が稼いだ金をどう使っても、あなたに関係ないでしょ!」

と回答して終了です。何か言われたら、なんで国税調査官であるあなたに、個人的なお金の使い方まで調査される必要があるのですか?法的根拠は何ですか?と切り返しましょう。

現金リベートがあり、広告宣伝費や紹介料として経費に計上している場合

現金リベートの税務調査

この場合、リベートを払った相手の連絡先(携帯電話や会社の電話番号)、住所を教えてくださいと言われます。

でも、多くの方が税務署に連絡先を伝え、反面調査が入り、リベート先が怒って仕事をくれなくなったらどうしよう・・・
と頭を悩ますことになるのではないでしょうか。

弊社へのお問合せも、ほとんどがこのパターンです。

仕事がなくなったら、会社が潰れてしまう!
反面調査なしで税務調査を終わるにはどうしたらいいですか?不安で夜も眠れません・・・

とご相談いただく方が多いです。

現金リベートの相手先を絶対に言いたくないとき、どうなるか?

現金リベートの税務調査

絶対に言いたくないとき。税務署からなんと言われようとも、

「絶対に言いません!」

と鋼鉄の意思をもって回答し続けてください(この対応を推奨してるわけではありません)。

裁判所の令状をもった強制調査であれば別ですが、通常の税務署による任意調査では、あなたに自白を強制する権限はありません。

ただし、調査官のあなたに対する印象は最悪になります。
私が仮にこのケース、調査官だったならば、

「なるほど、相手先を教えてもらえないのですね」
「では、本当に払ったかどうか確認ができません」
「架空経費を計上してたとしか思えません」
「本来経費でないものを経費としているので、帳簿書類の仮装行為にあたります」
「仮装行為は重加算税の対象です」
「調査期間を7年間に延長します」
「7年間の相手先がわからない現金リベートはすべて経費否認します」
「経費否認した分につき、消費税の仕入税額控除からも除外します」
「現金リベート分のお金が会社に残っていないので、役員賞与としてこれも経費否認します」

といった感じで、フルコースを提供しますね。

現金リベートフルコースでいくらの追徴課税が発生するか

例えば、毎年500万円の紹介料を現金で払っていたとしましょう。
税率は、仮に法人税率33%として計算します。

まず、経費から7年間否認されますので

500万円×33%×7年=1155万円 ・・・ A

消費税の仕入税額控除ができなくなることで、

500万円÷1.08×0.08×7年×67%=173万円 ・・・ B

この他、重加算税と延滞税(税金を後から払うので、遅れてはらう分の金利みたいなもの)もかかります。

(A+B)×1.35=1328万円 ← 重加算税がのってこれ。

さらに役員賞与否認をくらうので、仮に所得税30%とすると(これは人によって違うので)

500万円×30%×7年=1050万円

合計すると、2000万円をかるく超えそうですね。。。

そんなに税金が来たら倒産してしまう・・・
こんな厳しそうな税務調査、自分では乗り越えれない・・・
今の税理士は税務調査に聞いても、どうしていいか明確な回答がない・・・

など、税務調査に関して不安なことがあれば、年間100件以上の調査に対応している弊社までご相談ください。初回の相談は無料です。

永江 将典

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