税務調査で粉飾決算や労働基準法違反があるとどうなる??

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永江 将典

公認会計士・税理士
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今日は、粉飾決算(脱税ではなく、むしろ税金を多く払っているケース。売上・利益を水増し)
をしている場合や、労働基準法に違反がある場合、どうなるのか?
紹介したいと思います。

税務調査と粉飾決算

税務調査が始まると、調査官は会社の帳簿や銀行通帳などを確認します。
だから、税務調査で粉飾決算していることが見つかる場合もあります。

粉飾決算には2パターンあります。

粉飾決算により、売上除外などにより利益を減らして、
税金を意図的に減らしているケース。
これは追加で税金を取られて、終わります。
もれなく重加算税も取られることでしょう。

もう一つの粉飾決算が、わざと売上・利益を増やして、
税金を多く払っているケースです。

なんで税金をわざわざ多く払うのかというと・・・
実は赤字なんだけど、どうしても黒字に見せたい!
という場合や、毎年売上・利益が増えているように見せたい!
という理由によります。

例えば、公共工事の入札は、会社が黒字でないといけない、など
条件があることがあります。入札できなくなるくらいなら、
粉飾決算で税金を払ってでも黒字にしよう!
という動機が働きます。

また、上場している会社やオーナー経営者から経営を任されている
社長なんかは、株主やオーナーに対して会社の状態をよく見せたいですよね。
このため、粉飾決算をしたい、とう動機が働きます。

上場企業の粉飾だと、オリンパスの粉飾決算なんかが有名ですよね。
もっとも、これは税務署の税務調査ではなく、監査法人の監査でわかったものですが。

【オリンパス事件】
オリンパス株式会社が巨額の損失を「飛ばし」という手法で、損益を10年以上の長期にわたって隠し続けた末に、これを不正な粉飾会計で処理した事件。

税務調査で粉飾決算がばれるとどうなる?

粉飾決算がばれると・・・
税務調査では特になにもありません。

調査官は税金を追加でとるのが仕事のようなところがあります。
ところが・・・実は税金を多く払っていることが発覚すると、
税務署は税金を会社に返却しなければいけなくなります。

だから、見て見ぬふりをする、という結果になります。
粉飾決算をしていて税務調査がきたときに、調査官の方へ
うちは○○万円粉飾してるから、調査しても無駄だよ~、
と伝えたところ、調査が楽に終わったという話もあります。

調査官の方も忙しい(年間○件税務調査しなければいけない)
ので、税金がとれないところにはそんなに時間をかけないわけです。

税務調査と労働基準法違反

税務調査が入ることになった際、
税金のことはちゃんとやってやるけど、
労働基準法の対応まではできていない、
そんな個人事業主の方や会社経営者の方も多いのではないでしょうか。

また、そもそもどうなってると労働基準法違反なの?
という方もいるかと思います。

例えば・・・
雇用保険・労災保険に加入していない(加入してるが払っていない)

アルバイト・パートの人と社員の人が同じ能力なのに、
アルバイト・パートの人の労働条件が社員よりも低い

10人以上の労働者がいる場合、就業規則が必要

賃金を払っていない残業がある(サービス残業)

割増賃金を、残業は1.25倍、(60時間超は1.50倍)、
深夜残業は1.5倍、休日労働は1.35倍にしていない。

などなど色々とありますが、個人事業主や会社設立後間もない会社は
こんな条件、みたせていないところなんてたくさんあると思います。
やっぱり起業当初は資金も厳しいですからね。

税務調査で労働基準法違反が見つかると、どうなるか

労働基準法は、厚生労働省が管轄です。厚生労働省は消費者庁の下にあります。
税務調査は、財務省が管轄です。財務省は金融庁の下にあります。

どちらも親分が違うわけです。
親分が違うので、税務調査では労働基準法違反をみつけよう!
なんてチェックは全くありません。

仮に見つかっても、厚生労働省(労働基準監督署)に通報されたりはありません。
税務調査で得た情報を渡すと、守秘義務違反になってしまうからです。

逆のケースも同じです。
労働基準監督署が労働基準法を守っているか、チェックにきたとします。
その際、仮に脱税が見つかったとしても(そもそも帳簿は見ないのでバレないですが)
税務署に通報される、ということはありません。

税務調査で通報されてしまうものもあります

税務調査の際、違法薬物やわいせつ物を所持していたり、
販売していることがばれると、これは通報されてしまいます。

税務署と警察は、お互いに協力関係にあるからです。

とうわけで、税務調査で労働基準違反まで気にする必要はないのですが、
違法な状態を続けておくわけにもいきませんので、
なるべく早く労働基準法にも対応できるように、
個人事業・会社を運営してくださいね。

以上、税務調査に強い税理士事務所がお届けしました。

永江 将典

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