税務調査で、妻(配偶者や家族)名義のクレジットカードで払った経費は認められるか?

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永江 将典

公認会計士・税理士
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自分の名義でないクレジットカードを使うと、経費として認められない!?

個人事業や副業をされている方の中には、何らかの理由で自分名義のクレジットカードが作成できない方もいるかと思います。
しかし、経費を払う際にクレジットカードがあると便利ですよね。

amazonなどECサイトで仕事用の道具や消耗品を購入する際も、カード決済ができると便利です。
急いで必要な場合など、銀行振込やコンビニ決済している時間ももったいないです。

では、このようにやむをえない理由で奥さんや子供、親といった家族の名義のクレジットカードで経費の支払いをしている場合、
税務調査で

「これは経費じゃない!!」

と言われてしまうことはあるのでしょうか?

結論:経費として認められます

先に結論から。問題なく経費として認めてもらえます。

家族名義のクレジットカードで支払った経費も、個人事業や副業の経費とすることができます。
ご安心ください。

他人名義のクレジットカードで払った経費を認めてもらう条件

ただし、要件があります。
この要件を満たしていないと、追加で税金を払え!と国税調査官の方から指摘されても反論できなくなってしまいます。

要件1.クレジットカードの明細が残っていること。
要件2.何に使ったものであるかが説明できること。

それぞれの要件について、順番に説明していきます。

税務署が税務調査を行う目的は、あなたが行った確定申告の内容が正しいかチェックすることです。
このため、税務署がちゃんとチェックできる状態にしておく必要があります。

領収書やレシート、請求書の保管が義務付けられているように、
毎月送られてくるクレジットカードの利用明細もしっかりと保管しておきましょう。

また、クレジットカードを利用した際に、お店から渡されるレシート・領収書・クレジットカード利用明細も
保管しておきましょう。

これがないと、カード明細を見ても、何を買ったのか?
内容がさっぱりわからなくなってしまいます。

税務調査は通常3年分の資料の確認が行われます。
3年前のカード明細のこれは何?

と聞かれても、答えられない方がほとんどだと思います。
これでは、ちゃんと経費として使ったものか、プライベートな支払いに関するものなのか、
税務調査に来た調査官もチェックしようがありません。

カードの利用明細は、捨てたりなくしてしまっていても、カード会社へ依頼すれば再発行してもらうことができます。
しかし、カードの利用明細にはない、具体的に何を買ったか?という情報は、レシートでしか確認できません。

また、最近はアマゾンなどで仕事用の道具や消耗品を発注することも多いと思います。
この際、購入履歴をしっかりと残しておくようにしましょう。

店舗での買い物と違い、レシートを渡されませんので、あとで何を買ったか説明できるよう
画面のコピーなど残しておく必要があります。

しっかりとカード利用明細とレシートなど、両方の証拠資料を保管しておくようにしましょう。

このように、ちゃんと仕事に使ったことが明らかだという証明ができれば、
クレジットカードの名義が誰名義なのかはそこまで重要ではないです。

税務調査でも十分、認めてもらえます。
年間100件以上の調査に対応していると、カード名義が確定申告をしている本人様ではないことは頻繁にありますが、
名義が違うことをもって経費ではないと否認され修正申告へとなったことは一度もありません。

クレジットカードで経費を支払う際の注意点

これは、本人名義でも家族名義でも共通して注意するポイントです。

クレジットカードで決済した支払いの中に、プライベートな支払いが混ざっていた場合。
これは経費として認められません。

プレイべートな支払いなので、当たり前の話ですが、
私もですが・・・

確定申告なんて3月の期限ぎりぎりにバーッと書類作る方も多いのではないでしょうか。
そうすると、いちいちどれがプライベートだったかなんて、納税期限を過ぎてしまい、
無申告加算税(3月15日の期限をすぎた場合のペナルティ)を食らってしまいます。

だったら多少間違ってても、出してしまえ!!
なんてケースもあるかと思います。

しかし、本来は経費ではない支払いですから、税務調査で見つかった場合は、
これはダメだよね、と否認されます。当たり前ですが。

普段から、カードの利用明細などに私的な支払いは蛍光ペンで色を付けておくなどして、
確定申告書で収支内訳書を作成する際に経費と混同しないようにしておきましょう。

税務調査対策

家族名義のカードを使って、その支払いを経費にしたい際は、

 ・最低限、その家族名義のカードは仕事関係の支払いのみにしておく
 ・その家族名義のカードの引き落とし口座へ、あなたの名前でぴったり同じ金額を振り込む

という対策をしておけば、完璧だと思います。まぁ、ここまでやらなくてもいいですが、心配な方向けの情報と思ってください。

毎月のカードの引き落とし額と同じ金額を、カードを借りてる方の銀行口座へ自分の名義の銀行口座からお金を振り込むわけです。
ようは、借りたお金を返しますよってことですね。

ここまですれば、カードを借りていたという事実まで客観的に証明できますよね。
あとは、クレジットカードを借りますよという契約書を作っておいてもいいかもしれません。

ちなみに、全くそこまでする必要はありませんが、税務署に疑われそうな事実がある場合、
このようにしてツッコみに対して、しっかりと答えるための証拠書類で固めておくわけです。
税務調査に臨む際の考え方の参考になればと思い、書いてみました。

クレジットカードは、誰でも作れるわけではありません。過去にクレジットカードの支払滞納・事故かがあったりすると、クレジットカードの申込をしても断られてしまうケースがあります。そして、一度ブラックリストにのると数年間カードを作れなくなってしまいます。これは本当につらいですね。

しかし、仕事をしていくうえでカード払いしか受け付けてない支払いも出てくることがあります。
そんなときは、やむを得ず家族名義(妻や配偶者、兄弟など)でクレジットカードを作って、経費の支払いを決済するしかありません。

カードを借りて決済しなかったら、獲得できる売上を逃すことにつながりかねません。
売上を逃すと、国も税収が減ってしまいます。

他人名義のカードを利用したことで、経費を否認されそうになった際は、
カードを使ってこの経費を払っていなかったら、これだけの売り上げを失くことになる。
あなたはその売上を保証してくれるのですか?と言ってみましょう。

そんなわけで、税務調査の際もそこまで厳しく突っ込まれることはありません。

永江 将典

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