個人の税務調査と追徴課税、申告是認となる確率について その2

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永江 将典

公認会計士・税理士
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「個人の税務調査と追徴課税、申告是認となる確率について」、
前回に引き続き、後半の内容をご紹介していきます。

⇒前回の記事「個人の税務調査と追徴課税、申告是認となる確率について その1」はコチラ

今回は税務調査の終わり方の3つ目、更正処分からご紹介していきます。

(3)税務調査の終結

個人の税務調査

更正処分(決定処分)

更正処分(決定処分)についてご紹介していきます。

更正処分とは納税者が間違った申告をした場合、国が職権により所得金額を修正する課税処分のことです。
決定処分とは、納税者が申告を怠ったとき場合、国が職権により所得金額を修正する課税処分のことです。

 

更正処分、決定処分このどちらも、当該納税者が自ら修正する修正申告を行わない場合に下される処分のことです。
以後更正処分、決定処分ともに更正処分として表記します。

 

前回、修正申告の条件は

条件1)税務調査の結果、修正する必要があること

条件2)その修正内容に納得していること

とご説明しました。

 

では、更正処分となる条件とはどのようなものでしょうか。
更正処分となる条件は

条件1)税務調査の結果、修正する必要があること

条件2)その修正内容に納得していないこと

になります。

 

この場合、修正内容に納得していないので自ら修正し提出する修正申告書を提出しないことになります。

つまり税務調査の結果、修正が必要となったけれども、内容に納得していないので修正が必要とされた部分を自分自身で修正した内容を反映した申告書を提出しないということです。その結果、自分では修正した内容の申告書を出さないので、かわりに国が職権により所得金額を修正し処分を下します。この処分のことを「更正処分」と言います。

 

もう少しわかりやすく例えを使って説明しますと、

提出された“答案用紙”(申告書)の採点(税務調査)が終わり残念ながら合格点に達しなかったけれども、採点内容に不満があるため、納税者が自分で“答案用紙”を書き直して提出しませんでした。しかし採点結果を反映した“答案用紙”が必要となるため、税務署側が納税者に代わって採点内容を記載した“答案用紙”を作りました。

という事になります。

 

すなわち税務調査の事後対応は、修正事項がある場合には、修正事項に納得した場合は自ら修正申告をする「修正申告」となるか、修正事項に納得が出来ない場合は税務署側が更正という処分を下す「更正処分」となるのかどちらかの手続きを踏むことになります。

 

この更正処分が下されると、税務調査終了から数か月後に更正通知書という書類が税務調査を受けた納税者のもとに送付されます。
この通知書には、調査によって所得金額などの計算にミスや誤りがあった事項について、更正後の金額や税額、加算税額などが記入されています。

 

また税務署が更正処分をするという事は、経理上のミスや税法違反があるという事ですから、調査官は、どこがどのように税法違反なのか、間違っていたかを指摘し、更正通知書にはその理由が記されています。

国税通則法の改正に伴い、国税通則法七十四条の十一の二項において、更正決定等をすべきとみとめられた場合には、その税務調査の内容が納税者に説明されることになりました。ですので、説明をすべき調査結果の内容には、更正決定をすべきと認めた額だけでなく理由も付記されることになったということです。

これにより、指摘される点が明確になります。修正申告で何が何だかわからないで終わるよりも、納得がゆくメリットがあります。

以前は青色申告書に対する更正処分の場合には、更正通知書に更正理由を付記しなければ更正できないことになっていましたが、改正後は白色申告書であっても更正通知書に更正理由を付記されることになりました。

 

また更正理由を付記されるという事は、指摘内容が明確になるだけでなく、税務署として見解が統一されない指摘事項については更正処分に踏み切れない場合もあります。つまり修正申告をしなかったからといって、すべてが更正処分されるとは限らないという事です。

 

更正通知書には、更正後の納税額やそれに伴う附帯税も記載されていますので、その内容が修正申告を行うとした場合と一致するのか確認してください。

 

なお、更正処分は税務署側からの一方的な処分ですので、内容に納得できない場合には、当然、異議申し立てを行うことができます。
ですので、場合によっては更正処分を受けた方が納税者にとってはよいこともあります。

しかし何事もメリットがあればデメリットもあるということ忘れてはいけません。

個人の税務調査
更正処分に伴うデメリットとしてあげられるのは、何より「手間がかかること」です。
税務署からの修正申告の要請がしつこく対応で時間が取られる上、不服申しての手続きにも時間がかかること、また不服申告に伴う様々な要請に対応していく必要があります。

 

税理士がいる場合もしくは税務調査を機に税理士に相談するのであれば、税理士に一任することで解決する内容ではありますが、個人で対応する場合やはり本来の事業に少なからず影響すなわち対応に手が取られて事業に専念することが難しくなってしまうことが予想されます。

 

ですので、追徴される税額はもちろん税務調査における手間やその他いろいろなものを把握した上で修正申告に応じるのか・更正処分にするのか、若しくは税理士の助けを借りた方が良いのか…
何より大切な事業に支障の出ないように、若しくは最小限の支障で抑えられる形になるよう対応し決断することが大事だと思います。

 

税務調査において、調査官は問題点を指摘し、なぜ適法でないかの根拠を示して修正申告に応じるようにいってきます。納税者との折衝によって、いくつか事項については譲歩するでしょうが、それ以外については修正申告しなければ更正処分になると主張します。

 

これは税務調査を受ける納税者側だけでなく、税務署側も手続きにおいて更正処分という手続きになった場合、手間が生じるのでできるだけ避けたいという意図があります。また調査官の評価にもつながるため出来るだけ修正申告へもっていきたいという思いもあるため修正申告への要請が強まるわけです。

 

繰り返しになりますが、修正申告という形にすると申告内容に納得したという証拠となるため納税者側の異議申立ての権利はなくなります。しかし更正処分となると、納税者側にも相応の手間が生じてきますが、実は同じように税務署側にも調査官自身の評価及び更正通知書など手続きの手間がかかってしまのです。
結果、出来るだけ税務署側は修正申告にもっていきたい実態も否定できません。

 

以上のことにより、修正申告にするのか更正処分にするのかは納税者側・税務署側双方の折り合いがつけられる形で話し合いや、折衝が重要となってきます。

 

例えば、調査官がすすめるように修正申告することで、調査官が指摘した事項の1つでも2つでも取り下げてくれるというならばいいのですが、調査官が何の譲歩もしないというのであれば、自分の方からわざわざ修正申告をすることはないのです。

更正処分に伴う手間が生じてしまうことは否めません。しかし納得のいかない内容に対して無理をして聞く必要もないですし、納得がいかない内容が反映された税額を払う必要もありません。
修正申告書の提出は、異議申立ての権利を自ら放棄することに他ならないからです。

 

交渉において何らかの有利な譲歩が得られるのであれば、異議申立てができなくなりますが修正申告をする方が良いかもしれません。しかし逆に言うと交渉において何らかの有利な譲歩が得られないのであれば修正申告しない方がいい場合もあるのです。

その場合は、正念場と考えて自らの見解を主張することも大切です。ただし、この更正処分を選択する場合は、裁判まで視野を入れて折衝することです。

 

まとめますと、納税者側が交渉内容すなわち異議申し立てができなくなるけれども修正申告を受け入れる方が有利となるならば修正申告をする方が良いでしょう。

しかしながら、修正申告を受け入れ難い場合には無理して修正申告をせず更正処分をうけ、更正処分に対し異議申立てする方が良いかもしれません。

 

この判断において、一概にこの場で、どの場合若しくはどのような調査官とのやり取りであれば、修正申告又は更正処分が良いといった内容を示し検証することができません。なぜなら申告内容や調査官とのやり取りその他様々な要因に左右される事だからです。

ここでお伝えできるのは、修正申告に応じた方が得なのか損なのか、更正処分にした方が得なのか損なのかケースバイケースになりますが、それぞれの状況に合わせ十分に検討してから決めましょう。

 

ただし、修正申告にするか更正処分にするかを決めることが出来るのはあくまで納税者側であることも事実です。

 

修正申告または更正処分を選ぶのかというのは難しい問題だと思いますが、どうしても自身だけでは手に負えない場合は、税務調査の途中であっても一度税務調査専門の税理士に相談されることをおすすめします。

 

税務調査専門の税理士を味方につけることで、調査官とのどのような対応をすると良いのかが定まるとともに、追徴される税額の大幅な軽減や、調査官と話し合うことで修正申告という手続きをとる方が得策なのか、はたまた更正処分を受け異議申し立てをすることで税務調査そのものをやり直す手続きをすることで、大幅な追徴課税額の変更を見込めるのか、そういった一人の力量では対応しきれない部分のサポートを得ることが出来ますし、税務署とのやり取りを税理士に任せ、事業に専念できるというメリットもあります。

 

以上のことより、税務調査の途中でも、一人で対応するには限界だなと感じるなどの場合、税務調査に強い税理士に相談を投げかけることも一つの案ではないかと思います。

 

さて、更正処分での異議申立てについての話に戻します。

個人の税務調査

更正処分を受けた場合、そもそも修正内容に納得がいっていない場合なので、更正通知書に記載されている修正理由および追徴される税額等構成内容に不服を申立てたい場合、すなわち納税者は更正処分に不服な場合には、税務署長・国税局長に異議を申し立てるか、国税不服審判所長に審査請求できます。

 

修正内容に納得が出来ず、自ら働きかける修正申告という方法を選ばず更正処分を受け、かつその更正内容に納得できない場合、異議申立てをする権利が納税者側にあります。

 

この更正処分を受け、かつ更正処分に納得できない場合には、更正通知書が届いた日から2か月以内に税務署長に対し、異議申し立てをすることができます。

 

しかし、必ずしも異議申立てをしたからと言って、申立てを全て受け入れられるわけではありません。つまり異議申立てしても棄却されることがあるというわけです。

そのような場合には、棄却決定から1か月以内に国税不服審判所長に審査請求をすることができます。さらに、国税不服審判所長の採決に納得いかない場合には、裁判所での訴訟で決着をつけることになります。

 

近年、税務訴訟の件数は増えてはいるものの、納税者側が勝訴する場合は依然として低いままです。訴訟には時間もコストもかかりますので、実際に税務訴訟を行う場合には、相当の覚悟が必要になります。

 

このように異議申し立ての手続きには、それぞれ期限が設けられています。それぞれの期限をしっかり確認するようにしましょう。

 

(4)追徴課税について

個人の税務調査

追徴課税とは、税務調査の結果、申告内容に修正が必要となる場合、発生する税のことで、追徴すなわち後から不足分を取り立てる課税のことです。

後から不足分を取り立てる課税には、

①「本税」の過少分もしくは不納分、②本税に対し課せられた「延滞税」、③場合によっては「加算税」もあわせて納付する必要があります。

これら①~③の総称を「追徴課税」と言います。

本税⇒本体の税金

「本税」とは本体の税金のことです。個人事業主であれば、所得税や消費税がこれにあたります。

 

税務調査の結果「追徴される本税」とは、

本税の過少分…正しい申告によって算出された本来の税額から
既に納税している税額を差し引いたもの

本税の不納分…正しい申告によって算出された本来の税額で、
無申告などにより納付されていなかったもの

になります。

 

延滞税⇒利息 

「延滞税」は利息としての性格の税のことです。
課税要件は、法廷納期限までに完納しない時です。納税期限から納付日までの期限に応じて課税されます。

税率は滞納する期間によって異なります。

 

延滞税の算出は加算税に比べると算出方法が複雑になりますので、ここでの説明は省きます。ご自身で計算する場合は国税庁のホームページになる計算画面を用いられると算出することができます。

 

 

加算税⇒ペナルティー

「加算税」はペナルティーとしての性格の税のことです。

加算税には、個人事業主の場合ですと以下の3つがあります。

イ)過少申告加算税

ロ)無申告加算税

ハ)重加算税

 

です。加算税は「追徴される本税額の○○%」という形で課税されます。

この加算税に関して、平成28年度の税制改正により、国税通則法の一部が改正され加算税制度の見直しがおこなわれました。なおこの改正後の制度は平成29年1月1日以後に法廷申告期限または法廷納期限が到来する国税から適用されます。

 

この加算税制度の見直された部分は以下2つです。

  •  事前通知後から調査終了までの間に修正申告書または期限後申告書を提出した場合に対して、加算税が課される措置が設けられました。
    すなわち事前通知後から税務調査終了までに修正申告書を提出した場合、改正前は過少申告加算税が対象外でしたが、改正後は過少申告加算税が5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)課税されることになりました。

また事前通知から税務調査終了までに期限後申告書を提出した場合、改正前は無申告加算税が5%課税されていたものが、
10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%)に引き上げとなりました。

  •  短期間に繰り返して無申告または仮装・隠蔽が行われた場合に加算税の割合が加重される措置が設けられました。

 

イ)過少申告加算税

過少申告加算税とは、期限内申告書に記載した金額が本来払うべき税額に満たなかった場合発生する税です。個人事業主の場合だと、所得が生じた年の翌年3月15日までに提出した確定申告書より算出しすでに納税された税額が、正しい申告書で算出した税額に満たなかった場合に発生する税のことです。

 

つまり、本税の過少分に対して課せられるペナルティーのことです。

 

税率は原則10%ですが、「期限内申告税額または50万のうちいずれか多い方を超える部分」に対しては15%の課税となります。

 

すなわち、所得が生じた年の翌年3月15日までに提出した確定申告書から算出され納付した税額が50万円以下の場合
・追徴される本税の50万円以下は、その10%
・追徴される本税の50万円超える部分は、その15%

が過少申告加算税として課せられます。

(後日解説の図を反映)

 

所得が生じた年の翌年3月15日までに提出した確定申告書から算出され納付した税額が50万円を超える場合
・追徴される本税額のうち、期限内申告税額と同額に対しては、その10%
・追徴される本税額のうち、期限内申告税額分を差し引いた部分は、その15%

が過少申告加算税として課せられます。

(後日解説の図を反映)

 

 

また、この過少申告加算税は税務調査の事前通知が行われる前に修正申告をした場合は加算税の対象外となります。

 

事前通知から税務調査終了までに修正申告をした場合には、加算税制度の見直しによりペナルティーが課せられることになりました。
しかしながら、税務調査が終わるまでに自主的に修正申告を行うということで、税務調査終了後に比べ税率が5%引き下げられます。

すなわち事前通知から税務調査終了までに修正申告をした場合には税率が原則5%となり、また「期限内申告税額または50万円のうちいずれか多い方を超える部分」に対しては10%に軽減されます。

 

以下に過少申告加算税の税率を表にまとめましたのでご参照ください。

 

ロ)無申告加算税

無申告加算税とは、申告書を申告期限までに提出しなかった場合に課される税金のことです。個人事業主であれば確定申告書を所得が生じた年の翌年3月15日までに提出しなかった場合に課されます。

 

つまり無申告加算税とは本税の不納分に対して課せられるペナルティーのことです。

 

無申告だった場合のペナルティーだったため、既に期限内に申告をしていたが正しい申告内容で算出した税額に足らなかった事で課される過少申告加算税より重いペナルティーとなります。

よって、税率は原則15%ですが、「納税額のうち50万円を超える部分」に対しては20%の課税となります。

 

ただし、平成28年度の加算税制度の改正に伴い、過去5年以内に同じ税目に対して無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、さらに10%の割合を乗じて計算した金額を加算した税額となります。

すなわち過去5年以内に無申告加算税または重加算税が課されたことがある場合の税率は原則25%となり、また「納税額のうち50万円を超える部分」に対しては30%の課税となります。

 

これは加算税制度の見直しによって、過去にも一度ペナルティーを科されたにも関わらず同じことを繰り返したとして、より厳しい罰則を設けることとなったと解釈できます。

 

この無申告加算税も、過少申告加算税と同様、税務調査終了までに自ら期限後申告を行う場合はペナルティーが軽くなります。

つまり、事前通知前に期限後申告を行うのであれば無申告加算税割合は納税額の5%になります。
また事前通知から税務調査終了までに期限後申告をした場合には税率は原則10%となり、また「納税額のうち50万円を超える部分」に対しては15%になります。

 

以下に、無申告加算税の税率を表にまとめましたのでご参照ください。

なお、法廷申告期限すなわち、個人事業主の場合であれば所得が生じた年の翌年3月15日から1か月以内に自主的に確定申告の期限後申告を行っており、かつ下記の2つの条件を共に満たす場合は、申告の意思があったと判断され、無申告加算税が免除されることもあります。

この免除となる場合の条件は
条件1)期限後申告に関する所得税を全額納付済であること
条件2)過去5年間に無申告加算税または重加算税を課されていないこと

となります。

 

ハ)重加算税

重加算税とは、その名の通り上記2つの加算税に比べ重いペナルティーが課される加算税のことです。加算税のうち、最も重いものが重加算税になります。

重加算税の対象は、修正のもととなった事項に仮装・隠蔽があった場合に課税されます。
例えば、帳簿書類を隠したり、改ざんした場合や、虚偽の記載をした場合、調査官からの質問に虚偽の答弁や虚偽の資料の提出をした場合などが重加算税の対象になります。
単純な経理ミスなどは対象となりませんが、たとえば、伝票を破棄して売り上げを除外している場合などは重加算税の対象となります。

実際の税務調査では、仮装隠蔽に該当するかどうかは、調査官との見解が分かれることが多いところですので、事実関係をしっかりと主張しましょう。

 

この重加算税の税率は、過少申告加算税に代えて課されるものに対しては35%、無申告加算税に代えて課されるものに対しては40%となります。

 

またこの重加算税も無申告加算税と同様、平成28年度の加算税制度の改正に伴い、過去5年以内に同じ税目に対して無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、さらに10%の割合を乗じて計算した金額を加算した税額となります。

 

すなわち過去5年以内に同じ税目に対して無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合の税率は、過少申告加算税に代えて課されるものに対しては45%、無申告加算税に代えて課されるものに対しては50%となります。

このように重加算税に関しては、不正行為に対するペナルティーとなるため、かなり厳しい税率となるということを理解しましょう。税務調査の連絡が来ていないけれども、実は心当たりがあって…という場合、すでに確定申告書を提出しているのであれば修正申告書を、無申告の場合であれば期限後申告書を早急に提出することをご提案します。

 

以前の記事でも記載しましたが、調査官はプロです。税務調査が行われた場合もしくは税務調査がまだ来ていなかったとしても調査官の不正行為を見抜く能力は素人の想像をはるかに超えています。すでにある資料情報だけでなく様々な要因からすでに不正を知っているもしくは現場で見つけてきます。心当たりがある場合、特に税務調査がまだ行われていないのであれば早急に対応することでこの重加算税を受ける必要がなくなります。

 

また、重加算税が課された場合には、税率が厳しいだけでなく、青色申告の承認を取り消されることもあります。

 

(5)追徴課税の納付等について

個人の税務調査

修正による増加税額については、修正申告の場合は修正申告の提出日までに、更正処分の場合は更正通知書の発送から1か月以内に納税を行うことになります。

 

なお、加算税・延滞税の額は税務署長が決定することになっており、修正申告の場合は、修正申告提出後に納付書が送付されます。
この加算税などを納付して調査によるすべての納税手続きが完了したことになります。

 

調査の結果、追徴された税金は一括納付が原則となっています。

仮に、滞納した場合でも、当然、税金は免除されることはありませんし、滞納期間中はさらに延滞税がかかります。しかし、追徴税額は事前に予定されたものではないため、どうしても一括で支払えないこともあるかと思います。
滞納のまま放っておくと、職権により、財産の差し押さえなどの処分が行われることもありますので、事前に税務署に相談してください。一年以内の期間で分割納付するなど、ある程度の柔軟な対応をしてもらえる可能性もあります。

なお、滞納税金が1000万円を超える場合には、滞納の管轄が税務署から国税局に変更されることもあります。

(6)最後に

個人の税務調査

今回は平成23年に行われた税制改正や平成28年度行われた加算税制度の改正などの内容を反映して、税務調査の終結や追徴課税についてご紹介していきました。

 

追徴課税のうち、加算税や延滞税は本来納税する必要のない税金です。適正な申告をするよう心がけましょう。

また税務調査には申告内容について調査官とさまざまな話し合いや折衝が必要になります。意見を主張するのか、妥協するのか、折衷案を見つけるのか。その内容如何によって追徴課税額も変わってきます。

調査終了の手続きについても多くの場合修正が必要となりますので、修正申告をするのか、更正処分にするのかどちらの方が良い結果をもたらすのか検討し決定する必要があります。

 

税務調査は何も調査官が現場に来て調査するだけでなく、その後何度も調査官とやり取りを行って調査を終結にもっていきます。その間自身の事業に専念しづらい状況になります。

 

一人で対応するには荷が重い、もしくは事業に専念できず困るといった場合は、早めに税務調査が得意な税理士に相談してみましょう。

永江 将典

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