金券ショップで買う新幹線チケット、消費税はどうなるの?

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永江 将典

公認会計士・税理士
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金券ショップで新幹線のチケットを購入すると、正規の価格より安く手に入る場合が多いです。しかし、消費税に関してどのような扱いになるのか気になる方も多いでしょう。この記事では、金券ショップで購入する新幹線のチケットにおける消費税の仕組み、そしてその背景にある法律や経済的な影響について詳しく解説します。


1. 金券ショップとは?

まず、金券ショップとは何かを簡単におさらいしましょう。金券ショップは、通常、商品券、図書券、ギフト券、さらには新幹線のチケットや映画券など、さまざまな金券を扱う店舗です。これらの金券は、個人や企業が使用しなかったものを買取り、割引価格で販売しています。新幹線のチケットも同様で、使用期限が近いものや余ったものが金券ショップで売られ、通常価格より安く購入できる場合があります。


2. 新幹線チケットにかかる消費税の基本

新幹線のチケットも他の商品と同様に、通常、購入時には消費税が課されます。例えば、JRの窓口やオンラインでチケットを購入する場合、その価格には消費税が含まれています。日本では現在の消費税率は10%(一部軽減税率は8%)で、新幹線の乗車券や特急券にもこの税率が適用されます。

JRで新幹線チケットを購入する際の金額の内訳は以下のようになります。

  • 乗車券:新幹線の利用区間の基本運賃。
  • 特急券:新幹線特急の利用料。
  • 消費税:これらの運賃や料金に対して10%が加算される。

このため、例えば東京から大阪までの新幹線チケットを購入する場合、その価格には運賃と特急料金に加えて、消費税も含まれています。


3. 金券ショップで購入する新幹線チケットの消費税の仕組み

一方で、金券ショップで購入する新幹線のチケットには、消費税がどのように扱われているのでしょうか?ここでは、金券ショップでの販売と消費税の関係について解説します。

3.1. 金券ショップは再販業者

金券ショップは再販業者であり、新幹線のチケットを個人や企業から買取り、それを販売しています。このため、金券ショップで売られている新幹線チケットは、もともとJRなどから正規の価格で購入されたものであり、その時点で消費税がすでに支払われています。金券ショップで再販売される際には、チケットそのものに対して新たに消費税が課されるわけではありません。

つまり、金券ショップで販売されている新幹線のチケットには、すでに消費税が含まれている状態となります。このため、消費税は「目に見えない形で」含まれていると言えます。

3.2. 販売価格に消費税はかからない

さらに重要な点として、金券ショップはチケットそのものを再販売するだけであり、商品そのものに対して新たな付加価値を与えていません。このため、金券ショップでのチケット販売には、消費税がかかることはありません。金券ショップで販売される価格は、純粋に市場の需要と供給によって決まるものです。

たとえば、JRの窓口で1万円の新幹線チケットを購入する際、すでにその価格には消費税が含まれています。その後、そのチケットが未使用のまま金券ショップに売られ、9000円で販売される場合、消費税は再び加算されることはなく、購入者は9000円だけを支払うことになります。


4. 金券ショップと消費税法の適用

消費税法において、金券ショップが販売するチケットのような再販品に対して消費税が二重に課されることはありません。これは、消費税が「付加価値に対して課税される」仕組みであることによるものです。

  • 付加価値とは何か?
    消費税は通常、商品やサービスの提供によって新たに生じた「付加価値」に対して課されます。しかし、金券ショップは既に購入された新幹線チケットをそのまま再販しているため、新たな付加価値が生じるわけではありません。したがって、再販時には消費税が課されません。

5. 金券ショップで新幹線チケットを購入するメリット

金券ショップで新幹線のチケットを購入することには、消費税の負担が軽減されるという間接的なメリットがあります。具体的なメリットを以下にまとめます。

5.1. 割引価格で購入できる

金券ショップでは、定価よりも安い価格で新幹線のチケットを購入できることが一般的です。使用期限が近いものや、キャンセルによって余ったチケットなどが販売されるため、運賃を節約したい人にとっては大きなメリットです。

5.2. 消費税の負担が目に見えない形になる

すでに支払われた消費税が再販売価格に含まれているため、消費税が「含まれていないように見える」という現象が起こります。つまり、消費税が目立たない形で価格が設定されているため、金券ショップでの購入は一種の「消費税節約術」とも言えます。


6. 企業や個人事業主の経費精算における注意点

新幹線のチケットを金券ショップで購入する場合、企業や個人事業主が経費として精算する際には、消費税の扱いに注意が必要です。なぜなら、金券ショップで購入したチケットには明確な消費税額が記載されていないため、税務処理において問題が生じる可能性があるからです。

6.1. 経費精算時の消費税処理

企業や個人事業主が経費として新幹線のチケットを精算する際、通常はその経費に含まれる消費税を控除できます。しかし、金券ショップで購入したチケットの場合、消費税が明示されていないため、消費税控除を行うことができない場合があります。これにより、最終的な経費額が増える可能性があります。


7. 消費者としての注意点

金券ショップで新幹線のチケットを購入する際には、以下の点に注意することが重要です。

  • 有効期限の確認:金券ショップで販売されているチケットは、有効期限が近いものが多いため、使用可能な期間を事前に確認することが重要です。
  • 払い戻し不可:金券ショップで購入したチケットは、通常払い戻しができません。使用予定が変更になる場合にはリスクが伴います。

まとめ

金券ショップで新幹線のチケットを購入する際、すでに正規販売時に消費税が含まれているため、金券ショップで再販売される際に新たな消費税が課されることはありません。これにより、割引価格で購入できるだけでなく、消費税を間接的に節約することが可能です。しかし、企業や個人事業主が経費精算を行う際には、消費税の控除が難しくなるため注意が必要です。

消費者にとって、金券ショップでのチケット購入は賢い節約方法ですが、購入時にはチケットの有効期限や使用状況に注意し、適切に利用することが重要です。

永江 将典

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