ハンドメイド販売はいくらから確定申告が必要?所得の計算と税務調査への備え

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手作り作品の売上から申告の要否を判断する手順

「ハンドメイドの売上が20万円を超えたら申告が必要なのか」「趣味で作った作品なら税金はかからないのか」。販売を始めたばかりの方ほど、売上と利益、給与の有無で基準が変わる点に戸惑います。結論として、全員に共通する売上の申告ラインはありません。売上から必要経費を引いた所得を計算し、給与や他の所得、所得控除、申告不要制度の要件を確認して判断します。趣味という呼び方や販売サイトの規模だけでは決まりません。この記事では、2026年分の申告を見据え、材料や在庫の整理、会社員とそれ以外の方の違い、税務調査でも説明できる記録の残し方を解説します。

結論:まず年間の売上と所得を分けて計算する

販売サイトから振り込まれた額は、手数料が引かれた後の金額であることが多く、そのまま売上とは限りません。作品代、購入者から受け取った送料、販売手数料、実際の送料を分けて整理します。返品や値引きがあれば、販売履歴と対応させて確認します。

所得の基本は、収入金額から必要経費を差し引いた金額です。販売のための材料、梱包材、発送費、出店料、販売手数料などを検討しますが、買った材料がすべてその年の経費になるとは限りません。売れ残った作品や未使用の材料については、年末在庫の確認が必要です。

また、自分の制作時間に任意の時給を掛けた金額を、自分への人件費として差し引くことはできません。販売価格を考えるための原価計算と、所得税の必要経費の計算は目的が異なります。税務申告では、実際の取引と税法上の取扱いに沿って集計します。

会社員の「20万円」は売上ではなく所得の基準

給与を1か所から受け、給与の全部が源泉徴収の対象で、年間給与収入が2,000万円以下などの要件を満たす場合、給与・退職所得以外の所得合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告を要しない場合があります。ハンドメイドだけでなく、他の副業所得も合算する点が大切です。

要件は国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。給与が複数ある場合や特殊な所得がある場合などは、同じ基準をそのまま当てはめません。20万円を超えれば必ず納税が生じるという意味でもなく、税額全体の計算は別途必要です。

この制度は20万円を非課税にするものではありません。所得税の還付申告などで確定申告書を出す場合には、原則として20万円以下の副業所得も含めて申告します。また、所得税の申告が不要でも住民税の申告が必要な場合があるため、居住する自治体の案内も確認してください。

給与がない方は、所得控除を含めて申告の要否を判断する

専業で制作販売をする方や給与収入がない方は、会社員向けの20万円基準で判断しません。ハンドメイドの所得と他の所得を合計し、基礎控除や社会保険料控除などを反映して、所得税の確定申告が必要かを検討します。

2026年分については、2026年度改正による基礎控除等の変更を確認する必要があります。改正は原則として2026年12月1日施行で、2026年分以後の所得税に適用されます。10月時点の記事を読む場合でも、翌年に行う2026年分の通常の確定申告へ古い控除額をそのまま使わないようにしましょう。

例えば居住者で合計所得金額が132万円以下の場合、2026年分の基礎控除は104万円です。ただし、合計所得金額や居住者区分によって控除額は変わります。「売上104万円までなら誰でも申告不要」という意味ではなく、経費控除後の所得や他の所得を合わせて判断するための数字です。

家族の税法上の扶養、勤務先の家族手当、健康保険の扶養も同じ基準ではありません。所得税の申告が不要だから他の手続も不要とは決めず、該当する制度ごとに確認してください。ここでは本人の所得税申告を中心に説明します。

趣味の販売でも、所得区分と経費は確認が必要

ハンドメイド販売による所得は、活動の実態に応じて事業所得または雑所得などとして判断します。営利性、継続性、規模、制作や販売の体制、帳簿保存の状況などが関係し、開業届を出したことだけで事業所得に決まるわけではありません。

生活で使用していた不用品を売ることと、販売目的で作品を制作して売ることも区別します。フリマアプリを使ったから生活用動産の売却として非課税になる、という考え方は適切ではありません。製作品と私物を同じアカウントで売っている場合は、販売履歴で分けましょう。

事業所得と雑所得では、赤字の扱いや青色申告の適用などが異なります。雑所得の赤字を給与所得から自由に差し引くことはできません。税負担が小さくなる区分を選ぶのではなく、活動の実態に合う区分を判断します。

事業用と私用を兼ねるミシン、工具、撮影機材などは、購入した年に全額を経費にできるとは限りません。金額や耐用期間などによって減価償却等を検討し、私用があれば事業に対応する部分を区分します。材料の購入記録と設備の購入記録は分けて管理すると確認しやすくなります。

説明用の仮定例:会社員の販売所得が20万円以下になる

説明用の仮定例です。給与を1か所から受けて年末調整を済ませ、年間給与収入2,000万円以下などの申告不要制度の要件を満たす会社員を想定します。ハンドメイドの年間収入は60万円、売れた作品に対応する材料費等28万円、販売手数料・送料等14万円で、他の副業所得はないものとします。

所得は60万円-28万円-14万円=18万円です。売上は20万円を超えていますが、所得は20万円以下なので、他に確定申告を要する事情がなければ所得税の申告が不要となる場合があります。住民税の申告は別に確認します。

ただし、別の副業で5万円の所得があれば合計は23万円となり、20万円以下の申告不要制度は使えません。また、寄附金控除などを受けるために所得税の確定申告をする場合は、18万円の所得も申告に含めます。販売活動だけを切り離して判定しないことが大切です。

説明用の仮定例:年末の材料在庫が所得に影響する

説明用の仮定例です。年間収入90万円、年初の材料在庫5万円、当年の材料購入30万円、年末の未使用材料8万円、販売手数料等12万円の活動を想定します。原則的な期間損益で計算し、完成品・仕掛品の期末在庫はなく、使用材料はすべてその年に売れた作品に対応するとします。

この条件なら、売れた作品に対応する材料費は5万円+30万円-8万円=27万円です。所得は90万円-27万円-12万円=51万円となります。材料購入額30万円を全額差し引いた48万円とは3万円の差が生じます。

実際に売れ残った完成品や作りかけの作品があれば、それらも棚卸しの対象として検討します。所得51万円だけでは最終的な申告義務は決まらず、給与など他の所得と所得控除も確認します。この例は、申告の基礎となる所得を正しく計算するためのものです。

準備手順:販売チャネルごとの記録を一つにまとめる

  1. 販売サイト、イベント、委託店、直接注文を一覧にします。現金販売や個別の送金で受けた注文も、同じ年間集計に含めます。
  2. 販売日、作品、金額、送料、手数料、返品、入金日を整理します。銀行入金と販売履歴を突き合わせ、未入金や二重計上を確認します。
  3. 材料費、梱包費、出店料などを分け、領収書や電子の購入履歴を保存します。私用の買物が混ざる場合は明細単位で区分します。
  4. 年末の未使用材料、完成品、仕掛品を確認します。数量、取得単価、保管場所を記録し、前年からの在庫とのつながりを確かめます。
  5. 所得を計算し、給与の源泉徴収票、他の副業収支、所得控除の資料と合わせて申告の要否を判断します。住民税と消費税の確認も分けて行います。

委託販売では、店に納品しただけの作品と、実際に販売された作品を区別します。納品一覧、販売報告、返品された在庫、委託手数料をつなげ、売上にすべき時期を契約に沿って確認してください。預けた作品すべてを直ちに売上にしたり、入金まで一切記録しなかったりすると、年末の集計がずれる原因になります。

2026年分の通常の所得税の確定申告が必要な場合、原則として翌年2月16日から3月15日までに申告します。災害等による延長や還付申告などは別の取扱いがあります。期限直前にサイトの履歴が取得できないと困るため、販売データは定期的に保存しましょう。

よくある質問

Q1. 売上が20万円以下なら何も必要ありませんか?

A1. 全員に共通する免除ではありません。給与の状況、他の所得、住民税などを確認します。申告不要でも所得を計算した根拠は残し、必要な記帳・保存義務があれば対応してください。

Q2. 趣味として売っているだけでも課税されますか?

A2. 趣味という呼び方だけでは非課税になりません。販売目的で制作した作品の所得は、活動の実態に応じて申告を検討します。生活で使用した私物の売却とは分けて整理します。

Q3. まだ売れていない作品の材料代も経費にできますか?

A3. 原則的な計算では、年末在庫を確認し、その年の売上に対応する費用を求めます。現金主義の特例が適用される場合などは取扱いを別に確認します。購入額だけで所得を決めないようにしましょう。

Q4. 家族が無料で制作を手伝った時間を経費にできますか?

A4. 実際に支払っていない労務費を任意に計上することはできません。生計を一にする親族への支払にも所得税上の原則と専従者に関する特例があるため、単なる外注費として処理しないでください。

Q5. 開業届を出せば赤字を給与と相殺できますか?

A5. 開業届だけで事業所得になるわけではありません。活動の実態から所得区分を判断します。雑所得の赤字は給与所得との損益通算ができず、事業所得の場合も適用要件の確認が必要です。

Q6. インボイス登録をしていても少額なら消費税は不要ですか?

A6. 登録事業者は、売上が少ないことだけで消費税の納税義務が免除されません。所得税の20万円基準とは別に判定します。登録日や適用可能な特例を確認し、申告の要否を判断してください。

Q7. 過去に申告していなかった場合はどうしますか?

A7. 年ごとに収入と経費、給与等を集計し、当時の制度で申告義務を確認します。必要なら期限後申告等を検討します。在庫や所得区分の判断が難しい場合は、販売履歴をそろえて税理士に相談しましょう。

まとめ

ハンドメイド販売は、売上の大小だけで申告の要否を決められません。必要経費と在庫を整理して所得を求め、給与等との合算や申告不要制度、改正後の控除を確認します。販売履歴と支払資料を毎月保存しておくことが、適切な申告と税務調査への備えにつながります。

参考資料:国税庁「必要経費の知識」、「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」。