無申告の税務調査は何年前まで遡る?原則5年・不正がある場合7年の考え方

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無申告を解消するときに確認したい年数と申告期限

何年も確定申告をしていないと、「何年前まで調べられるのか」「古い年の資料も集めるべきか」が気になるでしょう。所得税などの更正・決定には原則5年の期間制限があり、偽りその他不正の行為がある場合は7年となるのが基本です。ただし、これは税務署が税額等を確定・訂正する処分の期間の話で、調査で確認する資料の古さや、確定した税金を徴収する期間とは別です。無申告なら必ず7年、5年待てば何もしなくてよい、という理解は適切ではありません。2026年10月時点の制度に基づき、主に個人の所得税の無申告を念頭に、年ごとの確認方法と資料が足りない場合の進め方を説明します。過去の申告を整理する際は、年数だけで対象を切り捨てないことが大切です。

結論:原則5年は「今日から5年分」と同じではない

国税通則法70条は、更正・決定等を行える期間を定めています。一般的な所得税、法人税、消費税では、法定申告期限から5年が原則です。偽りその他不正の行為により税を免れた場合等には7年となる規定があります。期間の確認には国税庁・国税通則法の講本、第6章が参考になります。

出発点は売上が発生した日ではなく、原則としてその税の法定申告期限です。厳密な期間計算では、その翌日を起算日として数えます。2026年10月に確認するからといって、2021年10月以後の取引だけが対象になるわけではありません。所得税は年単位、法人税は事業年度単位で、対応する期限を調べる必要があります。

また、国税庁の相続税法講本でも説明されているように、贈与税には原則6年の期間制限があり、法人税の欠損金額に係る更正などには別の規定があります。本記事の5年・7年を、相続・贈与やすべての税の手続にそのまま当てはめないでください。

無申告と不正行為は同じ意味ではない

申告義務があるのに申告をしていない事実と、税を免れるための偽りその他不正の行為があったかは、区別して判断されます。無申告の年数が長いというだけで、機械的に7年になるという説明は正確ではありません。

一方、売上を隠すための記録改変、架空の説明、取引実態を偽る行為などがあれば、より長い期間の課税や重加算税の問題につながり得ます。「申告しなかっただけ」と本人が言えば結論が決まるわけでもなく、当時の行動や資料が確認されます。

期間制限の不正行為と重加算税の隠蔽・仮装は、関連する場面があっても別の条文の要件です。7年の対象になったからすべての税額に必ず重加算税がかかる、という一括判断は避けます。税目、年分、行為、対象税額をそれぞれ整理してください。

課税の期間、資料の確認、徴収の時効を分ける

更正・決定の期間が5年でも、対象年の所得計算に必要な古い契約や取得費まで無関係になるわけではありません。例えば、以前に取得した設備の減価償却や、過去から続く売掛金を確認するには、取得時や取引開始時の資料が必要になることがあります。

すでに確定した税額を国が徴収する権利には、国税通則法72条以下の消滅時効の制度があります。ただし、督促や差押え等に伴う完成猶予・更新などの仕組みがあるため、当初の期限から年数を数えるだけでは結論を出せません。

さらに、更正の請求や不服申立て後の処理などに関連した期間の特例もあります。古い年が混在する場合は、「税務署からこれまで何の書類が届いたか」「申告書をいつ提出したか」も年表に入れましょう。期間の問題は、収支だけを見ても判断できないことがあります。

説明用の仮定例1:2022年分の申告をしていなかった

2022年分の事業所得について申告義務があり、所得税の申告期限が通常どおり2023年3月15日だった個人事業者を仮定します。期限延長等がなく、通常の5年の期間制限で考えると、2028年3月15日が一つの目安になります。2026年10月時点では、原則の期間内です。

この確認だけで、その年の税額が分かるわけではありません。売上、必要経費、他の所得、所得控除、源泉徴収税額などをそろえて計算します。事業開始年から無申告なら、2022年分だけを提出して終えるのではなく、前後の年にも申告義務がなかったか確認する必要があります。

説明用の仮定例2:古い設備の資料が必要になった

2023年分以後の無申告を整理する個人事業者が、2018年に購入した機械を使い続けているとします。2023年分の減価償却費を計算するには、取得価額、購入・使用開始時期、償却方法、過去の償却状況などを確認する必要があります。

2018年の請求書を求められたからといって、2018年分の税額を必ず新たに決定するという意味ではありません。古い資料は、対象年の計算を支えるために使われることもあります。購入契約、支払明細、固定資産台帳を残しておけば、現在の申告を正しく整理しやすくなります。

期限後申告では本税以外の負担も確認する

無申告に気付いて提出する申告は、通常、期限後申告になります。税額が少なかった申告書を直す修正申告とは区別します。税務署による決定がすでにある場合も手続が変わり得るため、通知書を確認してください。

国税庁「確定申告を忘れたとき」では、調査の事前通知前に、調査による決定を予知せず自主的に期限後申告をした場合について、無申告加算税は原則5%と説明しています。通知後や調査による決定を予知した後では扱いが変わり、反復・連年無申告等の加重もあり得ます。税務署の連絡後でも必ず5%で済むと考えないでください。

無申告加算税がかからない例外には、期限から1か月以内の自主申告に加え、期限内申告の意思が認められる所定の要件を満たす場合があります。具体的には、税額の全額を法定納期限までに納めていること(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書の提出日まで)、提出日前の5年間に無申告加算税・重加算税を課されたことがなく、この不適用も受けていないことなどを確認します。単に1か月以内なら不適用という制度ではありません。期限後申告による税の納期限は原則として申告書の提出日であり、延滞税も別に確認します。

複数年分の税負担を見積もるときは、各年の本税と附帯税を分けます。古い年にも現在と同じ加算税率を一律に使わず、法定申告期限ごとの適用関係を確認してください。納付が難しい場合は、申告を放置せず、資金状況を整理して税務署に納付方法や猶予制度を相談します。

無申告を解消するための準備手順

1.年分と税目の一覧を作る

事業開始から現在まで、所得税、消費税、住民税について申告・納付の有無を記入します。提出したつもりでも送信が完了していない場合があるため、控えやe-Taxの受信通知で確認します。家族の申告や法人の申告と混同しないよう、納税者名も入れます。

2.各年の期限と過去の通知を確認する

通常の申告期限に加え、災害や感染症対応等の期限延長、個別の延長がなかったか調べます。特に過去年分は、毎年一律に3月15日と置かないことが重要です。税務署の決定通知、督促状、相談履歴も時系列に整理します。

3.年ごとの収支を復元する

銀行明細、決済サービスの売上一覧、請求書、仕入れ記録を収集します。口座入金をすべて売上とせず、借入金、自分の口座間の移動、返金などを識別します。反対に、まだ入金していない売上が計上対象にならないかも確認してください。

4.不足資料を見える形にする

領収書がない支出は、内容、日付、相手、金額、代替資料を一覧にします。カード明細に店舗名があっても事業上の支出か分からないことがあるため、注文履歴やメールを照合します。合理的な裏付けのない経費をまとめて作ることは避けます。

5.年をまたぐ項目を最後に照合する

前年末の売掛金が翌年の入金に対応するか、仕入れた商品の在庫が残っていないか、設備購入を全額経費にしていないかを点検します。複数年の復元では、一つの取引を二重に収入や経費へ入れる誤りが起きやすいためです。分からない項目は根拠と疑問を添えて税理士へ相談します。

よくある質問

Q1.無申告なら必ず7年分を申告しますか?

A1.必ずそうなるわけではありません。原則の期間制限、不正行為の有無、個別の特例を確認します。まず事業開始以後の状況を整理し、提出対象を年数だけで自己判断しないでください。

Q2.調査は最初から5年分行われますか?

A2.処分できる期間と、実際の調査の対象期間は別です。連絡を受けたら税目と対象年分を確認し、後に対象が広がった場合も追加の説明を聞いて資料を準備します。

Q3.5年を過ぎた帳簿は捨ててもよいですか?

A3.期間制限だけで廃棄を判断できません。法定の保存義務や、資産の取得費など将来の計算に必要な資料があるためです。調査や申告の整理中は、関係する資料を保全してください。

Q4.売上がない年も申告が必要ですか?

A4.売上の有無だけでは決まりません。他の所得、損失、適用する制度、税目によって確認が必要です。所得税の申告義務がなくても、住民税等の申告を別に検討する場合があります。

Q5.過去年分を今年の申告にまとめられますか?

A5.原則として、所得は対応する年分で計算します。数年分の売上をまとめて今年に上乗せすると、年ごとの税額が誤る原因になります。各年の資料と制度で申告書を作成します。

Q6.全額払えるまで申告を待つべきですか?

A6.納付の不安を理由に放置するのは避けます。必要な申告を進め、納付が困難な事情と資金計画を税務署に伝えてください。相談しただけで納期限が延びるわけではありません。

Q7.税理士への相談には何年分の資料を持参しますか?

A7.保有する年分の一覧と、申告していない期間の全体像を示します。期限の判定に必要な通知書も持参し、詳細な集計の順番を相談しましょう。古い年を先に除外しないことがポイントです。

まとめ

無申告の遡及期間は、主な国税では法定申告期限から原則5年、不正行為がある場合は7年という枠組みで考えます。ただし、資料の確認範囲や徴収の時効、税目ごとの例外とは別の問題です。年分・期限・申告歴を一覧にし、収支を復元して、必要な期限後申告と納付相談を進めましょう。

参照した一次資料: