税務調査 個人 開業1年目でも来る?時期の目安

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開業1年目でも、税務調査が来る可能性はゼロではありません。理由は、調査の対象を「開業からの年数」だけで選んでいるわけではないからです。対象は、これから確定申告を迎える個人事業主やフリーランスの方です。

「始めたばかりなのに、もう調べられるの?」「まだ売上も小さいのに来るの?」「1年目から目をつけられたら、この先ずっと狙われる?」。開業直後は、こうした不安が頭をよぎります。正直なところ、開業初期の調査は「絶対に来ない」とも「必ず来る」とも言えず、可能性の高さは事情によって変わります。この記事では、開業1年目に調査が来るケースと来にくいケース、そして時期の目安を整理し、あなたが落ち着いて初年度の申告に臨める状態を目指します。

【この記事のポイント】

開業1年目に税務調査が入ることは、多くありませんが、あり得ます。実際には、数年分の申告がたまってから、まとめて確認されるケースのほうが目立ちます。ただし、無申告や現金商売、急な高額売上などの事情があると、初年度でも早めに動かれることがあります。大切なのは、最初の1年目から記帳と証憑を整えておくこと。あとから遡って整えるより、はるかに負担が軽くなります。

今日のおさらい:要点3つ

  • 開業1年目でも調査はあり得るが、確率としては数年分たまってからのほうが多い傾向。
  • 無申告・現金商売・売上の急増などの事情があると、初年度でも早く動かれやすい。
  • 更正の対象期間は原則5年分、不正が疑われれば7年分まで遡られ得る(国税庁の案内による)。最初から整えるほど後が楽。

この記事の結論

一言でいうと、開業1年目の調査は「来ないとは言い切れないが、慌てて身構える段階でもない」というのが実情です。最も重要なのは、来るか来ないかを心配し続けることより、来ても説明できる帳簿を初年度から作っておくこと。ケースによりますが、調査で結果を分けるのは開業からの年数ではなく、数字の裏付けを示せるかどうかです。1年目からきちんと記帳しておけば、いつ連絡が来ても対応できる土台になります。

現場事例:開業初期に何が起きたか

事例①:開業半年で連絡が来て青ざめた、ネット物販の方。 副業から独立してネット販売を本業にした方のケースです。開業して半年ほどで税務署から問い合わせの連絡が入り、「1年目からなぜ」と机の前で頭を抱えていました。よくあるのが、この「早すぎるのでは」という戸惑いです。背景を確認すると、プラットフォーム経由の入金記録が大きく、売上規模が急に伸びていたことが一因と考えられました。幸い、会計ソフトで日々の売上と経費を記録していたため、通帳とデータを突き合わせてその場で説明でき、大きな問題には至りませんでした。教訓は、規模が小さいうちから記帳を習慣にしておくと、早い段階の連絡にも慌てずに済むということです。

事例②:2年分をまとめて見られた、開業当初無申告だった飲食店の方。 開業初年度は「まだ利益が出ていないから」と申告をせず、2年目にようやく申告した個人経営の飲食店の方のケースです。実は、無申告だった期間があると、調査ではそこが重点的に確認されます。調査官は開業時にさかのぼって、レジ記録・仕入の請求書・通帳の入金を一つずつ照らし合わせていきました。1年目の記録が断片的だったため、売上を推計で計算される場面もありました。例えば数十万円程度の追徴と無申告加算税が論点になりましたが、残っていた仕入伝票から実態を再構成し、誠実に修正申告に応じたことで、着地は当初の想定より軽くなりました。開業初年度こそ、記録の有無が後々効いてくると実感した一件です。

現場の声。 ある調査に立ち会った際、調査官が漏らした一言が忘れられません。「開業したてかどうかは、正直あまり関係ないんですよ。見るのは数字がつながっているか、それだけです」。年数の浅さは免罪符にも不利材料にもならず、結局は記録の中身が問われるのだと、改めて感じました。

開業初期の税務調査、来る可能性と時期の目安

開業1年目に調査が来にくい理由と、それでも来るケース

税務調査は、申告内容に確認すべき点があるかどうかで対象が選ばれる傾向があります。開業1年目は申告実績がまだ1回分しかなく、比較や分析の材料が少ないため、数年分の申告がたまってから確認されるケースのほうが多く見られます。国税庁が公表する所得税等の実地調査は、令和4事務年度で所得税の実地調査が約4万6千件(国税庁「所得税及び消費税調査等の状況」による)で、その多くは複数年分の申告を持つ事業者が対象と考えられます。

ただし、次のような事情があると、初年度でも早めに動かれることがあります。

  • 無申告:申告そのものがないと、開業時点から確認の対象になりやすい
  • 現金商売:飲食・美容・小売など、現金売上が中心で記録が残りにくい業種
  • 売上の急増:開業直後に取引が一気に伸び、規模と申告額のバランスが目立つ場合
  • 他の調査からの波及:取引先への反面調査などで名前が挙がるケース

ケースによりますが、これらに当てはまるほど、年数が浅くても確認が入りやすい傾向があります。

時期の目安と、遡られる期間

一般には、確定申告から実際の調査連絡までには一定の期間が空くことが多く、開業から数年が経ってからのほうが、複数年分をまとめて確認されやすいと言えます。実地調査は秋(8月〜11月頃)に多い傾向がありますが、時期は事案によりさまざまで、断定はできません。

遡られる期間は、更正の除斥期間として原則5年分、仮装・隠蔽など不正が疑われる場合は7年分まで遡ることができるとされています(国税庁の案内による)。つまり、開業1年目の記録も、数年後の調査で確認される可能性があるということです。だからこそ、最初の年から証憑と帳簿を残しておく意味があります。

最初から記帳を整えておく利点

開業初期に記帳を整えるメリットは、大きく3つあります。

  1. 後追いの負担が消える:連絡が来てから1年目の記録を復元するのは大変ですが、日々記帳していれば整理済みの状態で臨めます。
  2. 無申告加算税などのリスクを避けられる:期限内に正しく申告していれば、加算税の心配自体が生じにくくなります。
  3. 数字で経営を見られる:記帳は調査対策だけでなく、資金繰りや利益の把握にも役立ちます。

無申告のまま調査で指摘された場合、無申告加算税は令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税で、納付すべき税額のうち50万円まで15%、50万円超300万円まで20%、300万円超は30%とされています(国税庁「No.2024」による)。一方、調査の通知前に自主的に期限後申告をすれば、この割合は5%に軽減される取り扱いがあります。実は、早く動くほど負担が軽くなる設計になっているのです。

今からできる備えステップ

開業初期の方が、今日から始められることを優先順に挙げます。

  1. 事業用の口座を1つ用意し、私的なお金と分ける
  2. 会計ソフトなどで、売上と経費を発生のつど記録する
  3. 請求書・領収書を月ごとにまとめ、失くさない仕組みを作る
  4. 家事按分(自宅兼事務所など)は、割合の根拠をメモしておく
  5. 申告期限を必ず守り、間に合わないときは早めに専門家へ相談する

ケースによりますが、この5つを回しておくだけで、いつ連絡が来ても「説明できる状態」を保てます。

よくある質問

Q1. 開業1年目でも税務調査は来ますか?

来る可能性はゼロではありませんが、確率としては数年分の申告がたまってからのほうが高い傾向です。ただし無申告や現金商売などの事情があれば、1年目でも対象になり得ます。

Q2. 売上が少なくても調査の対象になりますか?

なり得ます。金額の大小だけでなく、記録の整合性や急な変動などが見られます。規模が小さくても、記帳を整えておくことが最善の備えです。

Q3. 開業から調査まで、どれくらい期間が空きますか?

一律の目安はありませんが、確定申告から数年後にまとめて確認されるケースが多く見られます。実地調査は秋に多い傾向がありますが、時期は事案によります。

Q4. 1年目に赤字なら申告しなくてよいですか?

赤字でも申告しておくのが安全です。無申告の期間があると、後の調査でそこが重点的に確認されやすくなります。青色申告なら赤字の繰越しなどの利点もあります。

Q5. 開業初年度の記録は、何年分残せばよいですか?

更正の対象は原則5年分、不正が疑われれば7年分まで遡られ得ます(国税庁の案内による)。1年目の書類も後の調査で見られ得るため、最初から保管しておくのが安心です。

Q6. 無申告のまま指摘されると、どれくらい重くなりますか?

無申告加算税は、税額に応じて原則15%〜30%とされています(国税庁「No.2024」による)。調査通知前に自主的に申告すれば5%に軽減される取り扱いがあり、早く動くほど負担は軽くなります。

Q7. 開業1年目は税理士に頼まず自分でやっても大丈夫ですか?

規模が小さければ自分で申告する選択も十分あり得ます。ただし現金商売や無申告の不安がある場合は、早めに相談しておくと後の負担を抑えやすくなります。

Q8. 副業から独立した場合、副業時代の分も調べられますか?

事業として継続していれば、過去の副業期間の申告状況も確認され得ます。副業時代に申告漏れの心当たりがあれば、独立を機に整理しておくのが安全です。

Q9. 調査の連絡が来たら、まず何をすればよいですか?

慌てて書類を作り直さず、通帳・帳簿・請求書・領収書を年度ごとにそろえることが先決です。不安があれば、日程調整の段階で税理士に相談すると落ち着いて臨めます。

まとめ

開業1年目でも税務調査はあり得ますが、確率としては数年分がたまってからのほうが多い傾向です。無申告・現金商売・売上の急増などがあると、初年度でも早く動かれやすくなります。更正の対象は原則5年分(不正なら7年分)で、1年目の記録も後から確認され得ます。

最後に、開業初期にありがちな失敗を3つ挙げます。

  • 「まだ小さいから来ない」と油断し、1年目の記帳を後回しにする
  • 赤字や少額を理由に無申告のままにし、後の調査で重点的に見られる
  • 事業用と私的なお金を分けず、入出金の説明ができなくなる

いずれも、開業初年度からの小さな習慣で防げるものばかりです。ケースによりますが、調査で結果を分けるのは年数の浅さではなく、数字を説明できる準備の有無です。もし開業初期で不安があるなら、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で、税務調査に強い税理士法人エール名北会計に相談してみてください。始めたばかりの今こそ、整えておく価値のある土台があります。