税務調査 個人 車の経費はどこまで?按分の考え方

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車の経費は、按分の根拠がすべてです。事業用と生活用を兼ねる車ほど、割合の説明を求められます。基準は走行距離、使用日数、業務の実態のいずれか。決めた基準を継続して使えるかが分かれ目です。対象は、自家用車を仕事にも使っている個人事業主の方です。「なんとなく7割で入れてきたが根拠が言えない」「車両の購入費まで全部落として大丈夫なのか」「家族も乗っている車はどう考えればいいのか」。そんな不安を、この記事では判断できる形に整理します。対象になる費用の範囲、按分の決め方、残すべき記録の順に見ていきます。

【この記事のポイント】

自家用車を事業にも使っている場合、車両本体の減価償却費からガソリン代・保険料・車検・駐車場代まで、家事按分によって事業使用分だけが経費になります。調査で問われるのは割合そのものより、その割合をどう算出したかという根拠と、期間を通じた一貫性です。この記事では、按分の基準の選び方、費用ごとの扱いの違い、記録の残し方を、注意点も含めて整理します。

今日のおさらい:要点3つ

  • 按分の基準は走行距離・使用日数・業務実態のいずれかを選び、継続して使う。年ごとに都合よく変えると恣意的だと見られます。
  • 対象は燃料代だけではない。減価償却費・保険料・自動車税・車検・修理・駐車場代・高速代・ローンの利息部分まで広く関係します。
  • 記録は数字で残す。メーターの数値や運転した日の記録が、割合の説明を支える唯一の裏づけになります。

この記事の結論

一言でいうと、車の経費は「何割にしたか」より「なぜその割合なのか」で評価されます。最も重要なのは、事業使用の実態を数字で示せる状態を作っておくことです。ケースによりますが、通勤や買い物と兼ねている車ほど、割合の説明を丁寧に求められます。根拠のない概算のまま何年も計上しているなら、指摘を受ける前に基準を作り直しておくほうが、選べる手は多く残ります。

現場事例:按分の根拠が結果を分けた2つの場面

正直なところ、車の按分は「昔からこの割合でやってきた」という方が非常に多い論点です。誰かに指摘されるまで、根拠を意識する機会がありません。

事例①:営業で車を使う個人事業主の方が、長年9割で計上していたケース。調査では、なぜ9割なのかを尋ねられました。本人は「ほとんど仕事で使っているから」と答えましたが、走行距離の記録も、訪問先の一覧もありませんでした。一方で、休日にも車が動いていることが給油の記録から読み取れ、自宅周辺での給油が多いことも確認されています。結果として、割合の見直しが必要となりました。教訓は、実際に仕事で使っていたかどうかではなく、その使用実態を示す材料が手元にあるかどうかが問われるという点です。

事例②:出張の多い方が、走行距離をもとに按分していたケース。この方は年始と年末にメーターの数値を控え、訪問先ごとの移動距離を業務日報の端に書き添えていました。合計すると年間走行のうち事業分がどれくらいかが計算でき、その数字がそのまま按分の根拠になっています。よくあるのが「毎日記録するのは無理」という反応ですが、この方も全走行を記録していたわけではありません。訪問のたびに数行を残しただけです。この2つの違いは真面目さではなく、説明に使える数字が残っていたかどうかでした。同じ割合でも、根拠のある7割と、感覚の7割では受け止められ方が変わります。

現場の声:「割合を決めた理由を聞かれるとは思っていませんでした。数字を出せず、その場では何も言い返せませんでした」——訪問販売業を営む個人事業主の方の一言です。

車に関する費用は、どこまで経費になるのか

対象になる費用の範囲

車関連の支出は幅広く、それぞれ按分の対象になります。車両本体は購入時に一括で経費にするのではなく、法定耐用年数に応じて減価償却費として配分し、その事業使用分が経費になります。中古車の場合は耐用年数の計算が変わるため、購入時の確認が要ります。ガソリン代自動車税や自動車重量税任意保険と自賠責保険車検や整備の費用タイヤなどの消耗品駐車場代高速道路料金洗車代も同様です。ローンで購入している場合、返済額のうち元本部分は経費ではなく、利息部分が対象になる点にも注意が要ります。実は、駐車場代と高速代は少し性質が違います。取引先の駐車場代や商談先までの高速代のように、業務で使ったことが明確な支出は、按分せず全額を事業の経費として扱える場合があります。自宅の月極駐車場のように、業務と私用が混ざるものは按分の対象です。この切り分けを意識するだけでも、説明は整理しやすくなります。

按分の基準をどう決めるか

按分の基準には主に3つの考え方があります。1つ目は走行距離。年間の総走行距離のうち、業務で走った距離の割合を使う方法で、最も説明しやすい基準です。2つ目は使用日数。週のうち何日を業務に使っているかで割合を出す方法で、稼働のパターンが安定している方に向きます。3つ目は業務実態。営業時間帯や訪問件数など、事業の性質から合理的に説明する方法です。どれを選んでも構いませんが、選んだ基準の算出過程を書き残し、翌年以降も同じ基準を使うことが大切です。ケースによりますが、割合が高いほど根拠を求められる度合いも上がります。9割や10割にするなら、それに見合う記録が必要だと考えておくと安全です。なお、按分の考え方や関連する制度は改正されることがあるため、最新は国税庁の公表資料や税理士に確認してください。

家族も使う車、複数台ある場合

家族が同じ車を使っている場合、その使用分は事業の経費にはなりません。家族の送迎や買い物の走行を含めたまま高い割合で計上していると、説明が難しくなります。逆に、車が2台あり、1台を業務専用にしているなら、その1台は按分せず全額を経費にできる余地があります。ただし「業務専用」と言うだけでは足りず、私用に使っていないことが説明できる状態が前提です。実は、この使い分けを明確にしたほうが、記録の手間も判断もシンプルになります。

今から整えられる記録と、動くタイミング

何を、どこまで残すか

必要なのは緻密な管理ではありません。まず、年の初めと終わりにメーターの数値を控える。次に、業務で運転した日について、訪問先と往復のおおよその距離を数行で残す。この2つがあれば、年間の事業使用割合を計算できます。あわせて、給油のレシート、駐車場や高速の領収書、車検や修理の明細を車関連としてまとめておくと、確認の際に探す時間が減ります。スマートフォンの地図アプリの履歴や、業務用のカレンダーが補助的な材料になることもあります。

迷ったときの判断の目安

自分のやり方で大丈夫か迷ったときの目安は2つです。「今の割合を、算出した過程まで含めて説明できるか」。そして「同じ説明を、車の使い方を知らない第三者にしても納得してもらえそうか」。どちらかに詰まるなら、基準を作り直す時期かもしれません。自分で見直すこともできますが、過去分をどこまでさかのぼるか、修正申告が要るかの判断には、金額と期間の見積りが必要です。減価償却を含む車両は影響が複数年に及びやすく、影響額が想定より大きくなることもあります。金額はあくまで目安で、個別の事案によって変わります。通知が届いてから慌てて記録を探すより、今の時点で手元にある材料を確認しておくほうが、打てる手はずっと多く残ります。

よくある質問

Q1. 車の購入費は買った年に全額経費にできますか?

原則できません。法定耐用年数に応じて減価償却費として配分し、その事業使用分だけが経費になります。中古車は計算が異なります。

Q2. 按分の割合に決まった数字はありますか?

一律の基準はありません。走行距離や使用日数などから合理的に算出し、その根拠を説明できることが求められます。

Q3. 100パーセント事業用として計上できますか?

私用に一切使っていないと説明できる場合に限られます。生活の足を兼ねている車では、認められない可能性が高くなります。

Q4. 家族名義の車でも経費にできますか?

実際に事業で使い、費用を自分が負担している実態があれば余地はあります。名義と負担の関係を説明できるかが鍵になります。

Q5. 通勤に使っている分は事業経費になりますか?

自宅と事業所の往復は、事業所の形態や実態によって扱いが分かれます。判断が難しい部分なので個別に確認してください。

Q6. ガソリン代だけ按分すればいいですか?

いいえ。保険料、税金、車検、駐車場代、減価償却費など車に関する費用は同じ考え方で按分するのが基本です。

Q7. 記録をつけていなかった年はどうなりますか?

給油の記録や業務のスケジュールなど、残っている材料から実態を再構成します。裏づけが弱いほど説明は難しくなります。

Q8. 割合を途中で変更してもいいですか?

働き方が変わったなど合理的な理由があれば変更できます。変更した理由と時期を記録に残しておくことが大切です。

Q9. リースの場合はどう扱いますか?

支払ったリース料のうち事業使用分が対象になるのが基本です。契約の内容によって扱いが変わるため、契約書の確認が必要です。

まとめ

車の経費は、割合の大きさではなく、その割合をどう出したかという根拠と一貫性で評価されます。よくある失敗を3つ挙げます。1つ目は、根拠のない概算の割合を何年も使い続け、理由を聞かれて答えられないこと。2つ目は、ガソリン代だけを意識して、保険料や減価償却費の按分を見落とすこと。3つ目は、家族の使用分を含めたまま高い割合で計上し、まとめて見直しを求められることです。いずれも、メーターの数値と数行の記録があれば避けやすい失敗です。制度や取扱いは改正されることがあるため、最新は国税庁の公表資料や税理士に確認してください。今の按分に不安があるなら、できるだけ早く、税務調査に強い税理士法人エール名北会計に相談してみてください。当事務所は代表の石曽根祐司をはじめ、元国税の経験を踏まえて税務調査を専門的に扱っています。自分のケースで何をいつまでに整えるべきか、まず確認するところから始めてみてください。