税務調査 個人 申告是認とは?何もなければどうなる
申告是認とは、税務調査の結果「申告内容に誤りなし」と認められることです。追加の税は生じず、修正申告も更正もありません。対象は、調査を受けた個人・個人事業主で、指摘事項がなかった方です。
「調査は終わったけれど、これで本当に大丈夫なの?」「何もなかったって、後からひっくり返らない?」。税務調査を終えた直後、そう落ち着かない気持ちになるのは、正直なところ自然なことです。是認は「問題なし」という良い結果ですが、言葉がなじみのないぶん、かえって不安が残りやすい。この記事では、脅すためではなく、申告是認の意味と、修正申告・更正との違い、そして是認だからこそ続けたい記帳の大切さを正確に言語化します。読み終えたとき、自分の結果をどう受け止め、次に何をすべきかを落ち着いて判断できるはずです。
【この記事のポイント】
申告是認は、税務調査で申告内容が正しいと認められ、修正も追徴も生じない結果を指します。「是認通知(申告是認通知書)」が交付されることもありますが、必ず書面が出るとは限らず、口頭で終わるケースもあります。是認は「今回の申告に問題がなかった」という評価であって、将来の申告や過去のすべてを永久に保証するものではありません。だからこそ、是認を得たあとも記帳と証憑保存を続けることが、次の安心につながります。
今日のおさらい:要点3つ
- 申告是認=「申告は正しい」と認められる結果で、修正申告も更正も追徴もなし
- 是認通知は出ることもあれば口頭で終わることもある——書面の有無だけで結果を測らない
- 是認でも記帳・証憑保存は続ける——次の申告と将来の調査に備える意味がある
この記事の結論
一言でいうと、申告是認は「今回の申告に誤りはなかった」という、もっとも望ましい着地点です。最も重要なのは、是認に安心しすぎて記帳の手をゆるめないこと。正しく続けている記録こそが、翌年以降も落ち着いていられる土台になります。
現場事例:ほっとした後に、次の不安がやってくる
事例①:是認通知が届かず「本当に終わったのか」と悩んだ個人事業主
ある個人事業主は、数日の実地調査を受けたあと、調査官から「特に問題ありませんでした」と口頭で告げられました。ところが、後日になっても書面が届かず、「言われただけで、本当に是認なのだろうか」と落ち着かない日々を過ごします。よくあるのが、この「書面が来ない=終わっていないのでは」という思い込みです。実際には、是認は必ずしも通知書が交付されるとは限らず、口頭での終了もあります。この方には、調査結果の連絡内容を記録し、不明点は調査担当へ確認するようお伝えしたところ、「聞いてよいものだと分かって、ようやく肩の力が抜けた」と話していました。
事例②:是認に安心して記帳をゆるめてしまった飲食店オーナー
別の飲食店オーナーは、調査で是認を得たことに安心し、「もう見られないだろう」と、翌年から領収書の整理や現金売上の記録を後回しにしてしまいました。ケースによりますが、是認は「今回の申告」への評価であって、将来まで調査が来ないことを意味しません。数年後、別の年分について改めて問い合わせが入ったとき、記録が曖昧になっていて説明に苦労することになりました。本人は「あのとき気を抜かなければ」と悔やんでいました。
現場の声
「是認って書いた紙をもらえると思っていました」。相談に来られた方が、こう漏らすことは少なくありません。実は、結果の伝え方は調査によって異なり、書面が出るかどうかだけで良し悪しは決まりません。大切なのは、何を認められたのかを自分の言葉で理解しておくことです。
申告是認とは何か、そして修正申告・更正とどう違うのか
税務調査の結果は、大きく分けて三つに整理できます。是認・修正申告・更正です。まずこの違いを押さえると、自分がどの結果を受けたのかが見えてきます。
申告是認:申告が正しいと認められる結果
申告是認は、調査の結果、申告内容に誤りが見つからず「そのままで正しい」と認められる着地点です。追加で納める税はなく、加算税も延滞税も生じません。国税庁の案内でも、調査の終了時には結果が納税者へ説明されるとされており、是認の場合はその旨が伝えられます。書面(申告是認通知書)が交付されることもありますが、必ずしも書面とは限らず、口頭で完了するケースもあります。つまり、「紙があるかどうか」ではなく「誤りなしと認められたか」が本質です。
修正申告:自ら誤りを直して申告し直す
修正申告は、調査で指摘を受けた誤りを、納税者自身が認めて申告をやり直す手続きです。追加の本税に加え、過少申告加算税や延滞税が生じることがあります。よくあるのが、是認と修正申告を混同して「何か直したから是認ではない」と考えるケースですが、両者は明確に違います。修正申告は「誤りがあった」ことを前提にした是正で、是認は「誤りがなかった」結果です。
更正:税務署の側で税額を直す処分
更正は、納税者が修正申告に応じない場合などに、税務署の側で税額を計算し直して通知する行政処分です。修正申告が「自分で直す」のに対し、更正は「税務署が直す」点が異なります。更正に納得できない場合は、再調査の請求や審査請求といった不服申立ての道も国税庁の案内で示されています。是認は、この更正とも当然に異なり、そもそも直す必要がなかった結果を指します。
是認でも記帳を続けることが、なぜ大切なのか
正直なところ、是認を得ると「もう安心」と気がゆるみがちです。ですが、是認はあくまで「調査を受けた年分の申告」への評価であって、将来の申告や別の年分を保証するものではありません。更正できる期間(除斥期間)は原則5年、不正があった場合は7年とされており、是認を受けた事実が、それ以外の年分の確認まで妨げるわけではありません。だからこそ、日々の記帳と証憑(領収書・請求書・通帳など)の保存を続けることが、次の申告の正確さと、将来の調査への備えになります。是認は「ここまで正しくできていた」という確認であり、その状態を保ち続けることに意味があります。
是認を得たあと、今からできる行動ステップ
順序としては、(1)調査で説明された結果の内容をメモや書面で残す、(2)是認通知が出た場合は保管し、口頭のみなら連絡内容を記録する、(3)今回整えた帳簿・証憑の付け方を「型」として翌年も続ける、(4)判断に迷った経費や処理があれば早めに税理士へ確認する、という流れが現実的です。ケースによりますが、良い結果のときこそ、その進め方を仕組みとして残しておくと、翌年以降がぐっと楽になります。
よくある質問
Q1. 申告是認とはどういう意味ですか?
税務調査の結果、申告内容に誤りがなく「正しい」と認められることです。修正申告も更正も追徴もなく、三つの結果の中で最も望ましい着地点です。
Q2. 是認だと追徴や加算税はかかりますか?
かかりません。是認は誤りがなかった結果なので、追加の本税・過少申告加算税・延滞税はいずれも生じません。この点が修正申告との大きな違いです。
Q3. 必ず是認通知(書面)はもらえますか?
必ずとは限りません。書面(申告是認通知書)が交付されることもあれば、口頭で終わることもあります。書面の有無だけで結果を判断しないことが大切です。
Q4. 是認と修正申告は何が違いますか?
是認は「誤りがなかった」結果、修正申告は「誤りを自分で直す」手続きです。修正申告には追加の税や加算税が伴うことがあり、性質が正反対です。
Q5. 是認と更正の違いは何ですか?
更正は納税者が修正に応じない場合などに税務署が税額を直す処分です。是認は直す必要がなかった結果で、そもそも更正の対象になりません。
Q6. 是認を受ければ、もう調査は来ませんか?
そうとは限りません。是認は今回の年分への評価です。更正できる期間は原則5年(不正があれば7年)とされ、別の年分が確認される可能性は残ります。
Q7. 是認でも記帳は続けるべきですか?
続けるべきです。是認は将来を保証しません。日々の記帳と証憑保存を続けることが、翌年の正確な申告と将来の調査への備えになります。
Q8. 書面がなくても是認だと言えますか?
言えます。是認は「誤りなしと認められたか」で決まり、書面の有無では決まりません。不安な場合は、結果の内容を調査担当へ確認しておくと安心です。
Q9. 是認だったのに後日連絡が来ることはありますか?
別の年分や別の事項について確認が入ることはあり得ます。今回の是認とは切り分けて、記録を残しておけば落ち着いて対応できます。
まとめ
申告是認は、税務調査で「申告は正しい」と認められる、最も望ましい結果です。修正申告や更正と違って追徴も加算税もなく、書面が出ることもあれば口頭で終わることもあります。ただし是認は今回の年分への評価であり、将来まで保証するものではありません。だからこそ、記帳と証憑保存を続けることが次の安心につながります。
最後に、現場でよく見る失敗を3つ挙げます。
- 書面が来ないだけで「終わっていない」と思い込む:是認は口頭で終わることもあり、書面の有無で結果は決まりません。
- 是認に安心して記帳をゆるめる:是認は今回限りの評価で、別の年分は原則5年(不正は7年)内に確認されることがあります。
- 結果の内容を記録せず放置する:何を認められたのかを残さないと、後日の問い合わせで説明に困りがちです。
ケースによりますが、是認は「良い結果を、次の年も続けられる形にしておく」ことでいちばん活きてきます。処理の判断や記帳の進め方に迷うときは、結果が出たあとのできるだけ早い段階で、税務調査に強い税理士法人エール名北会計にご相談ください。一人で抱えるより、仕組みを整えておくほうが、翌年以降はずっと穏やかになります。
